先生はね、すごく俺の気持ちを軽くしてくれたんだ。
そうそうアオイちゃんみたいにね?
しつこいぐらい、毎日のようにウチまで来てたから、しょうがないから部屋に入れてあげたんだけど……いきなりね? 書道の準備し出すんだよ。ビックリしちゃうよね!
でも、先生は俺のいろんな話を聞きながら、俺の気持ちを文字にしていった。
それが本当に綺麗な字でね?
文字だけでこの人は、なんて繊細で細やかでそれでいて力強くて。引き付けられるような文字を書くんだろうって思って、俺は驚いた。
アオイちゃんは覚えてるかな?
アオイちゃんね、文化祭の開祭式の時、俺の字を見て似たようなことを俺に言ってくれたんだ。
昔の、俺が先生の文字を見て思ったことと同じこと。すっごい嬉しかった。先生に少しでも追いつけたかなって。
それからは家でちょくちょく書いてたけど、書道に興味を持った俺は先生にいろいろ教えてもらってた。
次第に俺は先生にも惹かれたけど、それは愛情とかよりも尊敬の方が大きかったかな?
また学校に通えるようになった俺は、先生に本気で書道がしたいって言ったら、先生も必死になって教えてくれた。休日とかも教えてくれたりしたんだ。あの頃も毎日が楽しかった!
……でも、それもあっという間だった。
前の彼女を襲った奴らが、今度は先生に手を出すようになったらしいんだ。
でも、俺は最初そのことは知らなかった。先生に、上手く隠されてたんだよ。
先生は、自分の体を売ってまで、俺のことを守ってた。また俺は、守られてたんだ。
それを知った俺は、また自分を責めた。
俺と関わる人は、どんどん酷い目に遭ってしまうって。
そして終いには、五十嵐組の奴が先生に手を出して殺しかけたって聞いたんだ。俺はまた、助けられなかったと思った。
しかも、身内にそんなことをさせてしまったこと、されてしまったことで、そもそも人を信用できなくなった。
だから俺は、自分から人と距離をとるようになった。



