すべてはあの花のために③


 そんなことを話している時に、みんなはマサキから賭のことを聞いていた。


「そんなことがあったのか」

「いやいや、そんなの命かけてやることじゃねーし!」

「まあそうやな。結局この用件を聞いても、親父は日付が変わったと同時にお嬢ちゃん殺すからな」

「な、なんでえ?!」

「それは恐らく、あの子が自分を殺すなという条件を言わなかったからね」

「そ。だから結局のところ、時間が来たら殺される」

「そんなのダメじゃん! あっちゃんを守らないと!」

「(こくこく!)」


 そんな話をしている中、カナデは二人の様子を心配そうに見ていた。


「カナ、もしかしてあいつが負けると思ってんの」

「え? ……ヒナくん。寧ろなんでそんなに冷静に見ていられるの」


 どうやら案の定、葵からスタートするようだ。
 紫苑は、それを馬鹿にしたように見ている。

 そして葵が、最初のカードに手を伸ばす。


「え。だってこの勝負、最初っから決まったようなものじゃん」


 そう言いながら、ヒナタは大好きなスマホを触り出す。
 ヒナタにカナデ以外のみんなも「確かにー」と足を伸ばしたりして寛いでいる。


「ま、それもそうかもな」

「ええ?! マサキまで!?」


 カナデが一人、慌てている。
 そんな様子の彼に、ヒナタはスマホ画面を見ながら。


「だってあいつ負けないし。先攻を譲った時点でおじさんの負け。最初の一回で全部ペア作るよ、絶対」


 自信たっぷりに、にやりと笑った。