「じゃ、じゃあ最初の質問から。さっきね、校舎を歩いていたら嫌な視線を感じたの」
葵がそう言うと、ツバサも先程のみんなと同様窓に視線を向け、入場してくる一般客を睨むように見た。
「そう。……でも、どうしてあの子たちといたのかしら」
「その視線があまりにもしつこく纏わり付いてくる感覚がして、逃げ込んだ先が茶室だった。そこでみんなに会ったんだ」
「そういえば1-Sがあの建物を貸し切ってたわね」
「それで、生徒会室まで二人がここまで送ってくれたんだ」
「なるほどね……」とツバサは考え込むような姿勢で頷いた。
「(なんだろう。この敗北感)」
((しょうがない出来が違ウ))
「(ひっ、ひどい……っ)」
「そう。わかったわ。それで? もしよければ他のことに関しても教えてくれる?」
「え? うん。それは全然大丈夫だよ?」
そう言うと、何故かツバサは呆気にとられたような顔になる。
「……教えてくれるの?」
「え? 逆に何で教えないと思ったの?」
葵がそう言うと、ツバサは一気に体の力が抜けたようにぐでーんっとなった。今まで何をそんなに緊張していたのか。
「(これは、普通に聞いても大丈夫だったのね)」
「ツバサくん大丈夫? 取り敢えずソファー座ろう?」
確かに立ち話もなんだしさ。二人はさっさと座った。



