すべてはあの花のために③


 それから親父は、あいつが本気になる前に、女を摘むことにした。勿論、ちゃんとどんな奴か見極めてからや。

 そういうことを親父がし出したことをあいつもどこかで知ったんやろう。あいつも人に、えっと関わらんようになった。自分から一定の距離を置いて接するようになった。

 あいつが基本警戒しとるんは、女や。
 いつ裏切られるかわからんからな。それをあいつも見極めるようになった。

 女ゆうても、桜庭んとこには手出さんで?
 あれは昔っからの知り合いやし、いい子やってのは知っとるし。あいつもそっち関係では、桜庭んとこの子は見とらんかったしな。

 女遊びは基本情報収集やろうな。女はそれとなく扱うてやったら、ぽろっと喋るからな。
 まあ元が女好きなせいも絶対あるか。あいつの場合、全部が全部情報集めじゃないと思うわ、絶対。
 ただの欲求の捌け口にしとる時もあるで?

 ……は? なんでか?
 そんなんな、恐らく好きになっても俺らに摘まれるからや。あいつは女運がとことんない。

 大抵、この子のこと好きなんちゃうんかなって思う子は男がおる。それに、裏ではいろんな男と遊んどるとかな。
 まあ、ほんまのとこは知らんけど。全部人から聞いたことやからなー。

 実際のところ、俺らが手出したんは担任の女だけや。それ以降はあいつが警戒し始めたから手は出してない。親父も、あいつのことを見張っとけぐらいしか言わんかった。

 そこに現れたんがお嬢ちゃんや。
 お嬢ちゃんの場合は、いきなり友達になったにも関わらず、あいつが執着するわ、得体の知れん奴やからってことやろうな。

 親父は早々に『摘め』と言ってきた。
 あいつが本気になってしまう前に。また苦しんでしまわんように。

 でも、流石にちゃんと見極めてなかったからな。体育祭ん時はちょっかい出しに行くだけでええって俺が言うた。
 そしたらなんや、大泣きして帰ってくるやん? そりゃ驚くわな。あれらも別に弱いことないんやで?
 なのに瞬殺されるわ、挑発の伝言渡されるわで、親父はプッツンいった。

 でもな、俺はお嬢ちゃんの話聞いとったし、ええ子やと思ってあの日会って確信した。この子やったら親父を止めてくれるかもしれんってな。まあ返り討ちにおうたけど。

 今日学校行ったんは、あいつらがいらんこと言わんようにしようとも思うとったけど、最初っからあんたに用事があったんや。

 文化祭。一般人が出入り出来る日や。
 送り迎えの時は絶対誰かがおるっていうのはあいつに聞いとったからな。会えるんはこの日しかないと思うたんや。