「だから、『イカレた依頼主』=『彼の父親』に繋がりました。わたしがわかったのはここまでです。と言っても予想ですけど。どうですかマサキさん?」
「大正解やお嬢ちゃん。でもな、どうして俺らがあんたに救いを求めたか、わかるか」
「え? ……腕っ節が強いから?」
葵がそう言うと彼は「確かになー!」と言って笑っていた。
「それもある。でもな、あんたが知らんとこであいつはちゃんとあんたのこと守っとってん」
「え? それってどういう……」
彼は少し嬉しそうに話す。
「ちょいちょい言ったやろ。お嬢ちゃんのことはあいつからちょくちょく聞くねん。確かに依頼主には『殺せ』と命令された。でもな、最初から俺は殺すつもりはなかったんや。あんたを殺したがっとるのは親父と、俺についてない奴らだけ。この間は思いっきりやって悪かったなあ。ついてきて欲しかっただけやのにめちゃくちゃ強いやん? そうなったら引き擦っていくしかないやろ」
「いやいや。口があるんだから話しましょうよ」
「しかも俺らのこと挑発してくれたしなあ? ある意味プライドが許されんくて、手が出たんかも知れんなー」
「いやいや。絶対そっちが本当の理由でしょう」
「まあ要するにや。あいつとは俺、実はめっちゃ仲ええねん。あんたのこともよう喋っとったわ。それはもう楽しそうにな。……家ん中だったら俺ぐらいしか言えんかったんやろう。親父がアレやし。せやから、俺はちゃんと聞いとったで。お嬢ちゃんのこと。それも4月には」
「そんな前から、わたしのこと知ってたんですか」
「せや。あいつが嬉しそうに言うとったわ。話、聞いてもろたって。友達がもう一人増えたんやーゆうて」
「カナデくん……」
「お嬢ちゃん。あいつが警戒してないんは友達だけや。あいつも、友達って呼べるような奴はそんなおらんねん。……あんたと一緒や」
そう言う彼の目がやわらかく細められ、何と言っていいのか上手い言葉が見つからない。



