「……お嬢ちゃん、それはいつの話や」
「……一度、体育祭の打ち合わせがあった時ですね。それからは学校から帰る時。体育祭ぐらいから可笑しいなと思い始めました。嫌な視線を感じる時があったので」
「確かに、あいつのことを俺らは隠れて監視しとった。多分打ち合わせん時ちゅうのは、あんたが言うロケ〇ト団の奴らかもしれん。……でもなお嬢ちゃん、よう考えてみ。あいつらがそんな視線出すような奴らと思うか」
「え?」
「残念ながら、お嬢ちゃんをつけとったことは一度もないで。お嬢ちゃんがつけられとるんは、他の奴や。俺らはカナと一緒に帰った時しかつけたことはない」
「……で、でも。わたしを襲ったのは……」
「あれはほんまにたまたまや。そろそろあいつらの仕返しにいこうかと思ってたら、ちょうど襲いやすそうなメンツやったからな」
「(ということは、わたしの後をついてきていたのは、文化祭でツバサくんが言っていた二人組の男。……一人はあいつか)」
なんという勘違いをしていたんだ。
でも、ここで気づけてよかった。彼の問題が終わったからって、気を抜いてはいけないようだから。
「……その顔は、心当たりがあるっちゅう感じか」
「否定はしません。寧ろ感謝しています。今日それを知れてよかった」
「ほうか。それじゃあ続き、どーぞー」
「少し当ては違いましたが、学校では大丈夫なんではないかと言ったんで、彼とは話すことはできたんです。そこで彼は、外でわたしに接触できないと言っていた」
「そうか。お嬢ちゃんと、話せはしたんやな」
「……ある友達が言ってました。『彼はとらわれてるんだ』と。『彼をすくえるか』と。わたしは最初からそのつもりでした。初めての友達を助けたいと思うのは、当然ですから」
「は? 初めて?」
「その友達からついでに、『警察なんか動かない』ことも教えていただきました」
「ま、そうやろうな」
「それでもあなたはさっき、『やった奴は檻ん中』って言いましたね」
「……」
「『前はやり過ぎた』『彼が傷に異常に反応すること』そしてさっき、彼はわたしに『生きて』と言った。……以前も、彼に近づいた女性は、わたしと同じような目に遭ったのではないですか?」
でも、やりすぎてしまった。
動かない警察が動いたということは、それ相当のことを檻の中にいる人がしてしまったから。
そして、それを指示したのはイカレた依頼主。
「先程わたしが演技をする前、あなたは『親父を助けてくれ』と言いました。カナデくんはそのことを知らなかったので、わたしがその話を出したら酷く怯えていましたよ」
――――バレてしまった、と。



