キサはカナデの頭を撫でる。そのやさしさにカナデは、泣きそうになるのを堪えた。
「圭撫、どうせそれが全部なんじゃないんでしょ? まだ話してないことあるんでしょ? でも言えないんだよね?」
カナデは人形になってしまったかのようにコクリと頷いた後、俯いたまま動かない。
「あっちゃんが圭撫にそうキツく言ったってことは、あんたに変わって欲しかったからだ。今ちょっと変われてよかったね。昔とは違うよ。……でもあっちゃんは、今日しかもうチャンスはないと思って、あんたをすくいに行ってる。あんたはこのままでいいの?」
カナデは何も言わない。
でも、みんなが動き出す。
「おれ……多分おうりもだと思うんだけど、気づいたことがあるんだ」
「(こくり)」
そうして彼らから語られる話に、戦っていた他の四人は同意するように頷いていて、それにカナデは驚いていた。
「それで? お前はどうするんだ圭撫」
アキラは片方の口の端を少し上げながら、そんなことを聞いてくる。
「……アオイちゃんを、助けに行く」
カナデのその言葉にみんなが頷き、一斉に足を踏み出した。



