葵が茂みに向かって尋ねると、案の定十人程度の大男たちが現れた。
「お嬢ちゃん久し振りやな。元気しとったか~?」
あれだけ痛め付けた関西弁男も、すこぶる元気そうだった。
「ひ~! なんであんたがこんなとこに?!」
「お、俺らはもうあんたらとは縁切っただろ⁉︎」
「こ、殺さないで~……!」
「(この人たち全然役に立たない……)」
ため息を吐いていると、ヒエンが葵を庇うように立つ。
「えらい奴らに目ぇつけられてるじゃねえか」
「それほどでもあります」
彼らは、じりじりと距離を詰めてくる。
「おっさん。俺らそこの嬢ちゃんに用事あんねん。長生きしたかったら、手え出さんことや」
「おいおい。俺まだ若えよ」
そんな会話をしている前に、葵が一歩前に出る。
「何やってんだ。下がれお嬢ちゃん」
「いいえ下がりません。そして、あなたをこれ以上巻き込むつもりもありません」
「もう十分巻き込まれてるぞ」
「では早く逃げてください」
「それはできねえ。あいつらにあんたのこと、何があっても守るっつったしな」
「こんなことになるとは思わなかったでしょう? 精々彼らがわたしに襲いかかってきたら……ぐらいにしか思ってなかった」
葵はそう言ってびくびくしている三人を指す。
「間違っちゃいねえが」
「ですから、早く逃げてください。ここはわたし一人でなんとかなります」
そうしていると、男は咥えていた煙草をこちらへ指で弾いて飛ばしてきた。
「前回は大誤算やったからなあ。まさか大の男六人全員、お嬢ちゃん一人にやられるとは思いもせえへんかったから」
ヒエンは驚きを隠せないようだった。
「……お嬢ちゃん。あんた一体……」
「彼らの友達。それだけです」
「そのお友達も結構強かったと思うで? まあそのチビ助よりはこっちんが強かったみたいやけどな。でもそれを、嬢ちゃんはあっという間に片しよった。……そんなようわからんお嬢ちゃんを、依頼主は大層嫌っとってん」
「そうですか。わたしは、彼を苦しめる依頼主が途轍もなく嫌いですけどね」



