「また恋バナしようね!」
「あるかわかんないけどね?」
「絶対にしなさい! わかった?」
「お、おう。努力はする」
そのあと少しだけ、キサから恋愛談義が始まった。
葵にはわからないことだらけだったけど、楽しそうに話をするキサを見ているだけでとても楽しかった。
そのあとしっかり首と鎖骨と、胸の上の印まできっちり隠したところで、アキラから閉祭式終了の連絡が来た。
いろいろあった文化祭も、残すところ片付けのみ。たくさんの思い出が葵の中に刻み込まれるとともに、紅い花もいっぱい刻み込まれてしまったけれど。
蕾のまま枯れるはずだった葵の心から、季節外れの恋の芽が、ほんの少しだけ覗いた気がした。



