適当にあしらわれた葵は、ヒナタとオウリと生徒会室へ向かった。
「ちょっと寄りたいところがあるんだけどいいかな?」
そう言って、葵が二人を連れてきたのは空き教室。ここは誰も使用しておらず、体育祭の時の写真が壁一面に貼られている。
「……これが見たかったの?」
「??」
「うん! わたしのアルバムに収めようと思って!」
アルバムの存在を知っているヒナタはうげ……っと言う顔になるが、オウリは首を傾げているだけだ。
「(〇番、〇番、〇番、〇番、〇番、〇番…………)」
葵は順番に廊下側から、
「(〇番、〇番、〇番、〇番、〇番、〇番…………)」
窓際に向かって……
「(〇番、〇番、〇番、〇番、〇番、〇番…………)」
見ていって――――
「(〇番、〇番、〇番、〇番、〇番、〇番…………)」
((いやいや多すぎない? 覚えられるの?))
「(ま、大体の位置とかでね~)」
((そ、そう。そんなに欲しいのね……))
葵は一回りして、大体みんなが写っている写真を把握したので、また欲しいのは書きに来ようと思った。
「今書かなくてよかったの?」
「?」
「だって二人にバレちゃうじゃん。恥ずかしいよ」
「いや、小さい頃の写真持たれてるオレらの方がハズいし」
「……!?」
「あれはもう厳重に保管してあるからな! わたしの宝物だ!」
二人は目を合わせて、大きなため息をついた。
そうこうしているうちに、あっという間に生徒会室に着いてしまった。流石に誰もいないだろうと思っていたら、雪のように白いドレスを着たスラリとしたとても綺麗な人が、そこに佇んでいて、葵は思わず叫ぶ。
「雪の女王さんがおいでなすったあーッ!!」
葵の声に三人の方がビックリしてた。
流石に誰もいないと予想していたから、こんなべっぴんさんが――――。
「って、なんだあー。ツバサくんじゃないかー」
「い、いきなり叫ばないでよ。ビックリしたじゃない」
「同じく」
「(コクコク!)」
生徒会室の窓際にもたれかかり、愁いの表情で黄昏れていたのは、雪の女王に扮したツバサだった。
「(にしても美しすぎるんですけど。どういうことですかね?)」
クオリティーの高さに、もはやビビる葵である。



