すべてはあの花のために③


「(……あっちゃん。一体、どういうことだ。それは)」


 キサはしばらく、出てきた扉を背にして動けない。


「(あっちゃんは、何をあたしたちに隠してるんだ)」

 
 悩んだところで答えは出ず、取り敢えずは葵の傍から離れまいと決意するだけ。それだけでも、しないよりはましだと言い聞かせて。


「(……さて、行きますかね)」


 そしてキサは、力強く歩き出した。



 その頃女子更衣室に一人残った葵は…………。


「(……っ、もう。わかったから! 治まってよ……っ!)」


 葵は冷たくなってしまった体を抱き締める。


「(……っ、わかってるっ。わかってるから! これ以上――……!)」


【ーーー、ーうすーーんーとはーーかーよ】

【ーーー、ーうすーーんーとはーーかーよ】

【ーーー、ーうすーーんーとはーーかーよ】





 頭の中に流れてくる、嘲笑うような声。それを必死にかき消そうともがく。
 扉にもたれかかりズルズルと座り込み、小さくなる。なかなか治まらない声に耐えるよう、頭を抱えていた。