すべてはあの花のために③


 18時になり、照明が一気に落とされる。
 唯一スポットライトが照らされているのは、司会のキサ。彼女のみ。


『只今より、文化祭閉祭式。並びに、後夜祭開祭式を始めます』


 それを合図に、ステージ上が少しだけ暖かな光に包まれる。


『以上をもちまして、桜ヶ丘高校文化祭を閉祭致します』


 今度はアキラにスポットライトが当てられて、閉祭宣言。
 そしてその後、パッと会場が明るくなり、みんなの目が慣れた頃。


『そして只今より、桜ヶ丘高校後夜祭を開祭致します』


 今度はステージの下に準備されている楽団のファンファーレが短く演奏された。


『文化祭優勝クラス発表の前に、生徒会主催のビンゴ大会を行いたいと思います。皆様、カードはお持ちいただけましたでしょうか』


 キサが会場のみんなに投げかける。体育館入り口にカードを設置していたので、入ってきている人は一人一枚ずつ取っているはずだ。


『第10位まで豪華景品を、第100位まで景品をご用意しておりますので、表彰までの間お楽しみくださいませ』


『それでは早速ビンゴ大会に移ります』と言うキサの声を合図に二手に分かれる。葵たちは急いで控え室まで戻った。
 投票は、校内のある三カ所に投票の看板を設置していたので、それに自分が気に入ったクラスにシールを貼ってもらっていた。葵たちは予めそれを回収してきていたので、それを黒ペンで一つずつ消していきながら、カウンターでカウントしていく。各クラスの売り上げも反映してくるので、ここでも二手に分かれていた。
 普段から会計の仕事をしているアカネとオウリに売り上げの集計を。アキラ、ヒナタ、葵がカウントをしていく。

 五人は無言で作業に取り掛かった。しかし集中しているはずなのに、みんなは何故か心ここに有らず。


「(みんな、一体何を考えて……)」


 と、そんなことを考えている余裕はこれっぽっちもないので、葵は猛ダッシュでカウントを進めていった。


「(よし。こんなものかな。何度も確認したし)」


 カウントを早く終えた葵は、アカネとオウリの様子を見に行く。すると二人の顔が、怪訝に歪んでいた。


「あ。あおいチャン。うーんとね、どうしても各クラスの売り上げと合計が合わなくって、得点の割り振りがまだできてないんだ」


 全体に対する売り上げの多い順で、各クラスに得点が振り分けられて加算される。しかし何回やっても合わないそう。時計を見ると、ビンゴの終了予定時間も迫ってきていた。


「ちょっとこれ、借りてもいい?」

「もちろん大丈夫だけど……あおいチャンどこ行くの?」

「??」


 葵は何故か、アカネたちが持っていた集計の紙を持って控え室から出ていこうとする。


「雰囲気変えたらどこが違うかわかるかもしれないから、ちょっと隣の部屋で確かめてみるよ。5分頑張ってみて無理だったらすぐ帰ってくるから、二人も一回頭リフレッシュさせておいて~」


 そう言い残し、葵はさっさと控え室から出て行った。
 よくわからなかった二人だが、一度頭をスッキリさせること自体は無駄ではないと思い、少しの間体を動かすことに。