すべてはあの花のために③


「(ふう。だいぶ、準備できたかな?)」


 体育館には一面に絨毯が敷かれ、あっという間にダンス会場に早変わり。壁際の机には、もう料理などが運び込まれてきている。
 今からここで行われるのは、ビンゴ大会と仮面舞踏会。一人一人が仮面を着け、パーティー用の衣装に着替えたところで、後夜祭が始まる。


「(ビンゴ大会をしている間に、文化祭の投票結果を集計。優勝クラスを発表して、仮面舞踏会が始まると)」


 もうすぐ18時。ぞろぞろと、衣装に着替え仮面をつけた生徒たちが体育館に集合してくる。葵たちは、ステージの裏で最後の打ち合わせ中だ。


「いいか。最後まで気を抜くなよ」

「アキ打ち合わせの時いっつもそれしか言ってないー」


 カナデに図星を突かれたアキラはむうっとなった後、「大事なことだからいいんだ」ときっぱり言い切って続けた。


「文化祭の閉祭式が終わって、後夜祭の開祭式が始まったあと、それぞれビンゴ組と集計組に分かれるからな」


 ビンゴ組は、キサ、カナデ、ツバサ、チカゼの四人。
 集計組は、葵、アキラ、アカネ、オウリ、ヒナタの五人。

 ちなみに、生徒会の出し物は投票不可。ただでさえ人気投票で集まった人たちには、何もしていなくても勝手に票が集まってしまうからだ。

 表彰式が終わり次第ステージの片付け。後は楽団の人に任せておけばダンスパーティーが勝手に始まる算段となっている。そこまでいってようやく葵たちもパーティー衣装に着替え、時間いっぱい楽しむことができるのだ。

 そして22時を目安に、体育館だけでなく、校内全部の片付けが終わっているかを確認してすべてが終了。


「片付けは一人で行動するのは禁止。油断は禁物だからな。特に葵、お前は俺と最後は回れ」

「うん。わかったアキラくん」

「え? ちょっとアキ? 何気にお誘いかけたんじゃないよね今!」

「ん~んーん~」
(※秘技:アメを舐めて逃げる)


 みんなは、そんなアキラを見て大きくため息をついた。一人だけ状況がわかってなかった葵は「え?」とみんなの顔を見回していたけれど。


「じゃあ今年の文化祭。後夜祭のいい思い出作りにでも行きましょうか!」


 キサがそう言ってみんなが笑顔で頷いた。

 そして始まるのは、すべての人々が仮面を着けている、誰が誰なのかわからない、少し不気味なダンスパーティー。

仮面舞踏会(マスカレード)』が今、始まる――――……。