すべてはあの花のために③


「お前らおっせえよ! 早くしねーと間に合わねえだろうが!」

「だから言ったじゃん! ほらみんな! テキパキ動く!」


 葵の号令に合わせて金魚の糞たちも準備に取り掛かったが、その間何度も葵の方を振り返る。その顔がやっぱり怖いぐらい笑顔で不気味だった。


「はあ……」

「あ? どうしたんだよキサ」

「何かあったの」

「??」


 葵と、様子が変な四人のことを離れたところで見ていたキサと、1年生組が固まっていた。


「……あっちゃんが告白された」

「なあ?!」

「でも、ごめんなさいって断ったらしい」

「(……ほ)」

「そしたらあいつら、あんなに嬉しがってんのよ?」

「え?」

「翼も、あの事すっぽり抜けてるみたいね。あんなに嬉しそうにして……」


 キサの言葉に、三人は首を傾げる。


「あっちゃん言ってたらしいの。結婚するつもりはないって。まるで、前から決まってるみたいに話してたそうよ」


 三人は目を見開いたまま固まっている。


「あっちゃんは誰から告白されようとも、付き合うつもりは最初からないってことよ」


「それなのに、告白を断っただけであの喜びようは何なのよ!」と、キサは三人から離れながらそんなことをぶつくさ。反対に残された三人は、時間が止まったかのように動かなくなってしまった。
 ただ頭の中ではずっと、ぐるぐるとキサの言葉が思考をかき混ぜていた。