「お前らおっせえよ! 早くしねーと間に合わねえだろうが!」
「だから言ったじゃん! ほらみんな! テキパキ動く!」
葵の号令に合わせて金魚の糞たちも準備に取り掛かったが、その間何度も葵の方を振り返る。その顔がやっぱり怖いぐらい笑顔で不気味だった。
「はあ……」
「あ? どうしたんだよキサ」
「何かあったの」
「??」
葵と、様子が変な四人のことを離れたところで見ていたキサと、1年生組が固まっていた。
「……あっちゃんが告白された」
「なあ?!」
「でも、ごめんなさいって断ったらしい」
「(……ほ)」
「そしたらあいつら、あんなに嬉しがってんのよ?」
「え?」
「翼も、あの事すっぽり抜けてるみたいね。あんなに嬉しそうにして……」
キサの言葉に、三人は首を傾げる。
「あっちゃん言ってたらしいの。結婚するつもりはないって。まるで、前から決まってるみたいに話してたそうよ」
三人は目を見開いたまま固まっている。
「あっちゃんは誰から告白されようとも、付き合うつもりは最初からないってことよ」
「それなのに、告白を断っただけであの喜びようは何なのよ!」と、キサは三人から離れながらそんなことをぶつくさ。反対に残された三人は、時間が止まったかのように動かなくなってしまった。
ただ頭の中ではずっと、ぐるぐるとキサの言葉が思考をかき混ぜていた。



