すべてはあの花のために③


『――いよいよ最後の曲です!』


 キサがそう言うと、ブーイングが起こる。


『しょーがないなー……あ。じゃあ最後だけど、改めて自己紹介いきますか!』


「今頃かよ!」ってメンバー全員から総突っ込みが。


『もーそんな怒んないでよー。それじゃー最初はこの人! ベース担当。生徒会長の、すめらぎ あきら~』


 アキラは、ベーステクニックを少し披露して手を上げて終わった。観客は、彼の少し眉間に皺を寄せながら引く表情に、メロメロになっていた。


『ええー! 喋んないの?! ま、まあいいか。結構時間も押してるし……続きまして! まさかのサックス担当。生徒会副会長、くじょう つばさ~』


 ツバサもアキラ同様、軽くサックスを演奏して『愛してるわよ~』って言ってた。


『続きましてー! キーボード&サイドボーカル担当。一応生徒会副会長、とうじょう かなで~』


 紹介前から綺麗な音を奏でていたカナデは、『一応』って言葉にガクッと崩れ落ちる。不協和音を弾きながら『どういうことー?!』と物申していた。


『そのままの意味でーす! みんなもそう思うでしょー?』


 即答で「おもうー!」と返ってきて、『そんなこと言う子には今夜お仕置きだぞ?』と言うカナデの甘い声に奇声が。だから自嘲してくださいって。


『むかついたのでスルーしまーす』


 キサのその発言に会場は爆笑。カナデだけは『なんでえ~!』って言ってるけど。


『続きまして! ドラム&サイドボーカル担当。会計の、くじょう ひなた~』


 そう言うとヒナタは、シャーンとシンバルだけ鳴らして終わった。


『え? それで終わり?』


 キサがそう言うと、観客からも「もっとー!」って声が上がる。あまりの歓声の大きさにヒナタは大きなため息をついて『じゃあちょっとだけね』とリズミカルで力強い音を出す。ヒナタファンも多いようで、目がハートになってる人もたくさんいた。


『うむ! よくやった! 流石弟2号!』


 キサがそう言うと『弟になった覚えはこれっぽっちもないんだけど……』とヒナタがぼやいていた。会場からは、「1号は~?」って言う声が上がる。


『そうだね! じゃあ先にあたしの弟1号ね! ダンス担当。これでも副会長、ひいらぎ ちかぜ~』


「弟じゃねー!」ってマイク無しでも十分聞こえる声で叫んでいたが、「くっそ」と言いながら片足で跳んで、バク宙をして片足で着地するというパフォーマンスをチカゼは見せた。


『うちの弟、なかなかやるでしょー?』


「弟くん格好いいー!」と言われてるが、「だから弟じゃねーよ!」って頑張って突っ込んでいた。


『それじゃあ続いて、ダンスチームを一気にしょうかーい!』


 そう言うと、オウリとアカネが両端から中心に走ってきてバク転を三回してのけた。


『赤茶の髪が会計、にのみや あかね~! ピンクの髪が同じく会計、ひかわ おうり~!』


 ここにもファンが多いのか、「アカネくーん!」「オウリくーん!」という声援がよく聞こえる。