『そういえば! こちらにいるあっちゃんはなんと! ミスコン優勝者なんだよー! このティアラが証拠~!』
今日は一日中着けておくようにと言われたので、ライブ中も着けている。お客さんはそれを見て、「ミス桜ー!」って声を上げてサイリュームを振ってくれる。葵はそれに応えるようにギターを軽く鳴らして手を振った後。
『いえいえキサちゃん? 本当のミス桜はツバサくんですから』
そう言うと会場中が「確かにー!」と笑い出す。
『まあ? アタシに勝とうなんて百年早いけど~?』と調子に乗り出すツバサへ「剣道格好よかったー!」と歓声を上げるお客さんも多く、『ありがとん』と彼は投げキッスを飛ばしていた。
「きゃあー!」って奇声がやっぱり上がった後、そのキスで男子も何人か叫んでいたことに気づき、やっぱりファンが増えたと思った。
『そして! 今楽器を持ってるあたしたちはみんな、そのコンテストに出てきたんだよ~』
キサがそう言うと「見たよー!」「格好よかったよー!」と、いろいろな声が上がった。
『やっぱり結構見に来てる人がいたんだねー』
でも、「ちがうよー」とお客さんから声が返ってくる。続けて「講堂のスクリーンで、最後の二人だけは見たよー!」と、会場の人たちが言ったので、メンバーみんなアカネとオウリを振り返る。二人は、自慢げにどや顔をしたあと笑顔でピースサインしていた。
『そんなことしてくれたんだ! 二人ともありがとう!』
会場も「ありがとー!」と二人にお礼を言った。
二人はと言うとマイクを持っていないので大きく手を振った後、バク宙してパフォーマンスする。何気にすごいね、二人。
『それじゃあ長くなってくるのもあれだからね! 次いこうか! ダンスチームは大丈夫か? ちゃんと休憩できた?』
そう言うと三人が大きな丸を作る。
次はロックテイストな曲が続く。歌や音も重要だが、今回のメインは三人のダンスになる。
三人は前に出てきて軽く準備してこちらにOKサインを出した。
『それじゃあ、次の曲。いってみよー!』
そんな明るい声とは正反対に、激しいベースとドラムが響き、会場が空気に飲まれていく。
ここも3曲一気に続けていく。激しい曲、格好いい曲、力強い曲。三人はそれに合わせて踊る。
眼鏡を外したアカネが、時折前髪をかき上げる仕草が色っぽい。感情を消したオウリは、どこか勇ましさを感じる。踊りながら観客のサービスを忘れないチカゼは、誘うような視線で見つめ、指先まで神経を注いでいる。
葵たちも彼らに負けてはいられない。メインボーカルのキサ、彼女を支えるようにハモる葵とカナデ。だんだんテンポが速くなってくる曲に、みんなそれぞれ集中しているみたいだった。



