『みんな~! ありがとー!』
基本キサがMCを担当。みんなに振っていく。
3曲が無事に終了し、ここで一旦休憩に。
『どうも! こんなにたくさん入ってるだなんて思いもよらなくて、すごいビビってる生徒会メンバーでーす!』
ちゃんと笑いを入れてくるキサを横目に、会場に視線を走らせる。「そんな恥ずかしいもん誰が見に行くか」と言っていたキク先生は、壁にもたれていた。
「(やれやれ~。愛されてますね~?)」
自然と笑みが零れてしまったところを、MCのキサが見逃さなかったよう。
『おー? あっちゃん何かいいことでもあったのかーい?』
そんなん正直に言ったら、あんたら大変なことになるぞー。
そう思って、じーっと彼女と彼を交互に見る。それに気づいたキサが慌てて『や、やっぱなしでいこー!』と顔を赤くするものだから、それがまたおかしくて笑ってしまった。
会場は、な~に? って興味が湧いてしまったみたいだけれど。
『キサちゃん。ただ、“愛されてるな~”って思っただけですよ』
メンバーが一斉に会場内でキクの姿を捜し出す。キクは危機感を感じたのか、しゃがんで姿を隠していた。それはそれでつまらないけれど。
『いやーでも本当に愛されてるよねー。俺こんなに大人数の女の子たちのこと、愛してあげられるかな~?』
みたいなことをカナデが喋ると、「きゃあー!」って女性たちの割れんばかりの奇声が発生。
『いやーそれはほんとにそう思う! みんなどこでこのライブを知ったのー?』
会場には生徒だけではなく、私服姿の人たちもたくさんいた。
「(そういえば彼も見に来るって言ってたっけ)」
葵は、足元にある水を飲もうと手を伸ばそうとした。
「――……ッ?!」
「……どうしたの」
纏わり付くような、気味の悪い視線を感じる。動揺が出ないよう何事もなかったかのように水を飲んだけれど、後ろにいたヒナタは気づいたみたいだ。
葵はライブが台無しにならないよう、「暑くてちょっとふらっときただけ」と平静を装う。
「(不味いな。ミスコンの時は、全然思わなかったのに……)」
葵は一度自分の服を掴み、大丈夫だと言い聞かせて持ち場へ戻った。



