そこで話を切り上げて、ゆっくりと四人は立ち上がる。
「まあ納得はできないけどねー」
「え。嘘でしょカナデくん」
「当たり前だ。俺の葵が傷物に」
「いやいや違うから!」
「違うよアキくん。さっきの彼が変態に襲われて傷物になったんだよ」
「おいー! ヒナタくーん?!」
言いたい放題言って、三人は自分の持ち場へ歩いていった。
「ドレス、綺麗だったわよ」
「ツバサくん! 本物の優勝オメデトウ!」
「嬉しくないけど」
「そうなの?」
「だってあれ、完全にアンタの優勝だったもの」
「いやいや、ツバサくんの男性ファンも増えたと思うよ?」
「嬉しくねえ」
「あははっ」
一頻り笑い合って、葵も自分の持ち場につこうと思った。
「葵」
「ん? ツバサく――」
けれどカーテン裏に引き込まれ、力強く抱き締められる。
「無事で、よかった」
「――! ……ッ、うんっ」
「そう言われた奴から、昨日俺が閉じ込められてたこと聞いたんだよな」
葵は、返事をする代わりにツバサの服をぐっと掴む。
「それで、場所を教える代わりにミスコンに出ろって言われたのか」
葵は首を振る。そうではないからだ。
「違うのか? じゃあなんて言われた。どうせ交換条件だったんだろ」
「……『何をしたのか』っていうのを、教えてもらった。そしたら、『ちょっと消えてもらった』って言ってたから」
「それはいつ?」
「チカくんの時だったから……15時過ぎ?」
「……大急ぎで、来てくれたんだな」
「つ、ツバサくん?」
「ほんと。格好いいよお前」
「えへへ。ありが――」
葵の言葉を待たず、ツバサはぐっと引き寄せる。
「もう一回ドレス着させてやるから」
「……ひゃっ!」
耳元でそう小さく囁いた唇が、葵の耳を掠めた。
へたり込んだ葵の前にしゃがみ込んだツバサの瞳が、愛おしげに見つめてくる。
「……かわいい」
「な……っ。ななな……」
「なに照れてんの」
「なっ、慣れてないって言ったのに……!」
取り敢えず顔を見られまいと、葵は「ツバサくんのいじわる!」と捨て台詞を吐いて、ツバサの肩に顔を埋めて逃げた。
「なあ。昨日の続き」
「え? 昨日の続きって――」
何のことかと、尋ねようとした葵の頬は、ツバサの手に包み込まれていて。
「……勝手に奪われやがって」
「つ。つばさく――ぐふっ?!」



