「(それにしても、本当にみんなとお揃いのものが着けられるなんて、夢みたい……)」
葵はすごく嬉しそうに、さっきもらったミサンガを眺めていた。そうしていると、「アオイちゃん」と控えめに名前を呼ばれた。目線を下げると、未だ律儀に正座をしている四人が、葵をずっと見つめていた。
「ん? なに? カナデくん」
彼ら四人は、どうやら聞きたいことがあるみたい。お互いを見遣って、代表してカナデが尋ねた。
「ど、どうして。さっき顔、赤かったの?」
「へ?」
「指輪の交換も、お姫様抱っこも……おでこにキスされたかと思ったら、今度は唇に! しかも二回!」
「え、えーっと……」
ミサンガのせいですっかり忘れていた葵は、結構焦っていた。実のところ、ぶっつけ本番で体が勝手に反応しただけなんだけど……そう言ったところできっと、彼らは納得しないだろう。
加えて彼らの表情は真剣そのもの。少し恥ずかしそうだが、先程とは違ってきちんとした答えが欲しいらしい。
「んーっと。じゃあ、ちゃんと答えるよ? 時間迫ってるけど」
葵はゆっくり四人が納得するように話し出す。
「か、顔が赤くなったのは、ちょっと恥ずかしかったから。わたし『可愛い』って。あんまり言われ慣れてないから……」
「へ?」
赤くなってしまった顔を冷ますように手で扇いで、ふうと小さく気持ちを整える。
「さっき出なければいけなくなったって言ったけど、本当は『出ろ』と言われたの。途中で条件を変えられたけれど、それを言った人は最初優勝を条件にしようとしてて」
「変えた条件って?」
「優勝は必ずしもじゃなくていいって。でもミスコンには出ろと。それだけ言われたけれど、……優勝しなければ何かされるんじゃないかと思って」
ヒナタの質問に答えた葵は、静かに俯いた。
「だから、あんなことしたのか」
「うん。そうだよアキラくん」
「あいつのこと、好きなんじゃなくて?」
「そんなわけないじゃんカナデくん。今日初めて会った人だよ?」
「でも相手は満更でもないような顔してたけど?」
「わたしには、ツバサくんたち以上に大好きな人なんていないよ」
「じゃあなんでキスしたの」
「……優勝を条件にされていたから、最後までしないといけないかもと思って」
「なんで口にしたの」
「さ、されたんだけど……」
「なんで逃げなかったの」
「……ジンクスのことがあったから、しなくちゃと思って」
「ッ、だからって……」
「ひ、ヒナタくん……?」
「いや、もういい。わかった」



