みんな一斉にキサへ飛びかかろうとしたが、あっけなく振り払われた。
「ああん!? 本当のことでしょうが!! だからそんなに落ち込んでんでしょ! そんな私情をあっちゃんにぶつけんじゃないよ! 一番困ってるのはあっちゃんでしょうが! 正直にもなれない、あっちゃんを守ることもできない! そんな奴らなんか生徒会にはいらないんだよ、バカたれどもがーッ!!」
完全にキャラ崩壊。それだけ彼女も端から見ていて苛々してたのだと思います。ハイ。
みんなを跳ね飛ばし、正座をさせてお説教が始まる。
「大体……なんなんだあんたらは! あっちゃんの唇がそんなに欲しいなら、さっさと食い付け! 齧り付け!」
「え? き、キサちゃん?」
何故だろう。彼女の手には、いつの間にか鞭が握られていた。
「大体なに!? あんたらまだ誰も言ってないじゃないのよ!!」
「い、いや、俺は言っ――」
「相手に伝わってなかったら意味ないんじゃ呆けがあーッ!!」
「(※アキラは震え上がった)」
「知ってんのか!? あっちゃんはサブ役だった二人からすでにちゃんと言われてんだぞ!? あんたらメインなのに何やってんだよ!!」
「そんなんオレらのせいじゃなくて作者のせい――」
「あんたらがそんなだから動かそうにも動かせないんでしょうがあ! もっとグイグイ行けや! じゃないと名前も出てねえような奴に掻っ攫われんぞ!!」
「キサちゃん、自分だけ幸せにくっついたからって――」
「ええい黙らっしゃい! いいか! あっちゃんは一人しかいないんだ! あんたらあっちゃん大好きじゃねえのか?! それなのにあっちゃんと思い出作りもできねえのか!? いつまでもグジグジしてんじゃねえ!! 大好きならちゃんと大事にしろって言ってんだーッ、ごほごっほ」
最後は噎せてしまった彼女の背中をさすりながら、「キサちゃんありがとう」と、言った葵にも火がつく。そんな雰囲気を感じ取った数名は、身が縮こまった。
「そうですかそうですか。どうやらやっぱりこの作品の男共はヘタレが多いみたいですねえ? わたしがもう一度、第①巻の頭から叩き直してやりましょうか? ええ??」
葵がそう言うとみんなどんどん小さくなっていってしまう。そんなみんなを見て、葵はふっと笑った後、正座してるみんなと目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「よっこいしょっと。……いいですかみなさん。何をそんなに怒ってるのか、落ち込んでるのかどうかはわたしにはわかりませんけど、みんながわたしのことをすごい大好きなんだなっていうことが、キサちゃんのおかげでわかることができました」
みんなは、ばつが悪そうな顔をして顔を背ける。
「わたしも、みんなのこと本当に大好きなんだ。みんなも、わたしと同じ気持ちなんだと思うと、本当に心が温かい」
葵は、自分の胸に手を当てる。
「(ちょっと違うけど)」
「(こくこく)」
そんなことを思っている人たちは置いといて。



