「わたしね、みんなと一緒にできる出し物、これが最初で最後だと思って楽しみにしてたの。だって、このメンバーでまた、来年生徒会ができるとは限らないから」
来年葵たちは3年になる。基本はメンバーから外されてしまうのだ。
「それに、チカくんにはバレちゃったから言うけど、ミスコンにわたしは『出なくてはいけなくなった』んだ」
今まで視線を落としていたみんなの視線がバッと上がる。葵は苦笑しながら続けた。
「黙っていてごめんなさい。でも、本当に何もなくてよかった。こうして無事に、みんなと一緒にいれること。それだけでとっても幸せだから、これ以上わたしはお願いしない方がいいんだろうけど……もし、みんなさえよかったら」
葵は彼らの方へ、手を差し伸べる。
「わたしと思い出、一緒に作ってくれませんか?」
満面の笑顔を着けて、葵はそう言った。
そして、一番に駆け寄ってきた人に抱きつかれる。
「あったりまえだあ! ばっきゃろー!」
「きっ、きさちゃんくるじい~……」
(※首絞められてます)
本当に苦しんでるのがわかったのか、キサは腕を放してくれたが、今度は肩を掴みにかかる。
「いやーやっぱりあっちゃんはすごいね! こんな奴らほっとこう! あたしが男だったらあっちゃんと絶対結婚する! あたしが幸せにしてあげる!」
そしてプロポーズされた。
「いや、あなたキク先生は……」
「あんなヘタレはこの際どうでもいい! 今んとこ全然出番ないし!」
キサも大分暴走していた。
「でもみんな、やっぱり優勝したかったんだよね。だからあんなに落ち込んでるし、怒ってるんだ。『一人だけ優勝しやがってー!』って」
「え? ほんとにあっちゃんそう思ってるの?」
「え? 違うの?」
葵とキサの会話が聞こえたのか、男共はめちゃくちゃ大きなため息をついた。
「あっちゃんの唇を自分が奪いたかったのに、守れなかったどころか他のよう知らん奴に掻っ攫われたのが気に食わないに決まってるじゃない」



