彼は軽く触れただけで、すぐに少しだけ離れる。
「……いちご、みるく?」
そんな葵の第一声に、彼は笑って口を開く。そこには薄いピンク色の飴。
「目。閉じてもらえませんか」
両頬が緊張で震えた手に包まれ、返事ごと彼に飲み込まれる。
「(……あまい。味がする……)」
葵はゆっくり瞳を閉じ、彼の服を軽く掴む。
彼の温かくて、遠慮がちの口づけに、身を任せた。
どれくらい、そうしていたかわからない。
一瞬だったのか、それとも長かったのか。
ひとときの間。二人は甘い口づけを交わしていた。
名残惜しそうに離れた二人は、ほんのり頬を染めたまま、しばらくの間見つめ合っていた。



