すべてはあの花のために③


 選ばれた二人は参加者たちよりも前に出て、表彰される。
 ステージ裏から運ばれた表彰台に登り、まずは彼へ。優勝者の証として、ペンダントが葵の手から彼に送られる。そのペンダントには、我が校の象徴である桜をモチーフにしたオリジナルデザインで、桜色のダイヤモンドがその中心に輝いていた。


『それではミスターからミスへ。ティアラを贈呈してください』


 彼はスタッフからティアラを受け取り、葵の前へ。


「ねえ。このあとよかったら、一緒に文化祭回ったりしませんか?」

「ごめんなさい。この後は出し物があって、大急ぎで講堂の方に行かないと」

「そっか。……よかったらそれ、見に行ってもいいかな?」

「はい。もちろん」


 そうして葵の頭の上にも、桜色のダイヤモンドが輝くティアラが飾られた。
 会場はオールスタンディング。拍手と歓声が鳴り止まなかった。

 葵と名も知らない彼は、二人で見つめ合った後、静かに笑い合う。


「あ。そういえばさっき、ジンクスって言ってたよね?」


 彼は葵に視線を合わせる。


「……もっと踏み込みたい」

「え?」

「あっ。……えっと」


 ぼそっと口に出したことが恥ずかしかったのか、腕で口元を隠しながら。


「い、いや。もっとって、どこまで踏み込むのかなって。……思って」

「え? ……え。まさか」


 彼は、照れながらも頑張って真剣な表情になる。


「嫌じゃなかったらでいいんですけど。最後まで幸せに。……一瞬でも、なってもらえませんか?」