えっと……え、エントリーNo.13の方……です』
会場は、割れんばかりの歓声なのか奇声なのかわからない声が上がった。
『な、何でも男性からは【あの綺麗な足を近くで拝ませて欲しい。いっそ踏んで欲しい】と。そして女性からは【禁断っていい響き!】というコメントを戴いており、彼らの得点が大きく響いたとのことです……』
司会の人が泣きながらそう言った。ツバサは喜ぶのかと思ったけど、「チッ」と小さく舌打ちをしていて、泣いてる彼のところへ行って耳打ちする。
『え? いいんですか? それじゃあ言いますけど』
ツバサは彼の肩に肘を乗せて、「早よ言え」という顔をした。
『えーっと、ですね。エントリーNo.13の方は女性ではなく、本当は立派な男性なのですが。それでもいいという方は……?』
「はあああああ!?!?」
彼の声に、会場中が男たちの怒りで響き渡った。直後、噎び泣くような声も響いた。
『(わーそうですよね~。俺らもこいつが優勝するとは思わなかったんです~)えーっと。どうやら批判の声が多いようなので、あなたの次に得点が多かった人を優勝にさせていただきますが、よろしいですか?』
司会の人がビクビクしながらツバサに聞く。ツバサは満足そうに頷き、彼の頭をぽんと叩いてから、自分の場所へと戻った。
『そ、それでは改めまして! ミス・コンテストの優勝者を発表します!』
改めたところで、女性の参加者は男のツバサに負けたので、本気で喜べそうにないけれど。
『さ、桜ヶ丘高校! ミス・コンテスト! 優勝者は――――エントリーNo.15の方です! 本当にすみません! おめでとうございます!』
司会の人がそう言うと、パチパチ……という同情の拍手の下、葵にも彼と同じようなまぶしい光が降り注ぐ。
「(……ツバサくんに負けたっ)」
((何はともあれ優勝オメデトウ。あなたが動かないから困ってる。早くそっちに戻って))
「(くそう。でもまさかの展開でちょっと面白かったのは事実です。おいしかった! ありがとうっ!)」



