すべてはあの花のために③


『……あ。ありがとうございましたあああー!』


 やっと我に返った司会者の声に、拍手だけだった会場に歓声も鳴り響いた。


『そっ、それでは審査に移りたいと思いますが! これはもう決まってしまったのではじゃないでしょうか!』


 そうして参加者全員がステージの上に集合し、審査結果を待つ。


『み、皆様! これは、本当にミスとミスターのコンテストなので! 決してカップル審査ではありませんよ!』


 司会者の声に笑いが起きる中、会場の人たちは番号が書かれた紙をスタッフに渡していた。


『時間がかかりそうなので、ここで少しコンテストのジンクスについて話ししたいと思います』


 ここ、桜ヶ丘のこのコンテストには、こんなジンクスがあります。
 以前このコンテストで優勝された方たちが、永遠の愛を誓って幸せになったそうです。
 どうしてこのコンテストが、男女ペアになって歩かないといけないのか。もう、みなさんおわかりかと思います。
 その幸せになった方々が、このコンテストと同じようにペアを組んだ相手同士だったからです。
 その人たちが、その後どうなったかはわかりません。けれど、そんな風に自分たちもなりたいという気持ちが大きくなった。だから、このジンクスがうまれました。

『優勝者同士が口づけを交わすと幸せになる』

 そんな、ありえないことでも。
 ちょっと温かいジンクスに、私たちも乗っかってみたいと思いませんか――?



 ゆっくりと語りかけるような口調に、会場全体が聞き入った。


『……それでは。優勝者を発表したいと思います』


 一気に照明が落とされ、今は司会の彼のところのみ、明るく照らされている。


『まずはミスターから。桜ヶ丘高校、ミスター・コンテスト。優勝は……エントリーNo.15の方です! おめでとうございます!』


 司会の彼がそう言うと会場は今までにない歓声で湧いた。彼にも、司会者と同じようにスポットライトが照らされる。
 そんな彼は、まぶしそうに目を細めながらも、どこか嬉しそうな面持ちだ。


『ミスターも接戦でしたが、どうやら【チラシの写真とのギャップにやられた!】という声が多く上がっているようです!』


 そんな司会者の言葉に彼は、「よしっ!」と小さくガッツポーズをしていた。


『それでは引き続きまして、ミスの発表に移ります』


 彼がそう言うと、また会場はしんと静まる。


『桜ヶ丘高校、ミス・コンテスト。優勝は…………………………え。