そう言って彼が腕を差し出してくれたので、葵はそれに絡ませてゆっくりとアリーナの方へ進んでいく。実況の人も、もう言葉が出ないようだ。
彼のタキシードは白で統一され、ネクタイと靴だけが、彼の髪と瞳と同じ黒で絞められている。胸元には、青い薔薇の造花が飾られていた。
そして彼女のウエディングドレスも、白で統一されたビスチェタイプのドレス。そこには白の薔薇の花が散りばめられている。彼女の手元には、青い薔薇でいっぱいのブーケが。髪型は編み込まれており、ブーケと同じく青い薔薇で作られた花冠が控えめに彼女の頭を飾る。
耳には真っ白の薔薇で作られたイヤリング。そして胸元にはガラスのハートのネックレスが、静かに揺れていた。
それは、中央までの道のり。
「『あおい』」
一瞬、名前を呼ばれたのかと思った。
「実は、サムシングフォーとか。一応気にしてみたりして」
確かに、彼の胸元には青い薔薇が印象的だ。
「『古いもの』は、今は見えないんだけど、シルバーアクセ。ペンダントをしてるんだ」
彼はふわりと笑うので、葵もそれにつられて笑う。
「『新しいもの』は、靴」
そう言う彼は、なんだか楽しそう。
「『借りたもの』は、ネクタイ」
にこっと、最後は葵の方を向いて。
「『青いもの』は、この青い薔薇の造花」
どやーって、可愛い顔でそんなことを言う彼に自然と笑いが漏れる。
「あれ? おかしかった、かな?」
「ふふ。……ええ。とても」



