すべてはあの花のために③


 ――――キサとツバサ。


「どうしたのよ翼」


 葵と一体何を話していたのかと、暗に尋ねる。


「どうもこうもないわよ」

「あんただけよ? あっちゃんのあんな姿見て、そんな顔してんの」


 キサの言葉に、ツバサの顔は余計に苦しそうになる。


「……あの子、結婚するつもりないらしいわ」

「じゃあ翼がすれば?」

「バカ言ってんじゃないわよ」

「え? 結構本気だったんだけど」


 キサの視線から、ツバサは逃げるように顔を逸らした。


「だって。それがもう、ずっと前から決まってたことのように言うのよ」

「ただ結婚が嫌なんじゃないの?」

「それだったらまずあんなの着ないでしょ」

「着てみたかっただけかもよ?」

「……アタシの勘が外れてたらいいなと、心から思うわ」

「あたしもそう思う。あっちゃんには……あっちゃんにだけは。あたしも幸せになって欲しいからね」


 彼女の姿を見に行こうと、キサはツバサの背中を支えるように手を添えた。