ふと気づくと、先程までの争い声は聞こえなくなっていた。耳を澄ませてみると、1、2年のSクラスがよさこい節やマスゲームがしたいと言い出したのだ。
もちろんSクラスではない生徒たちはもう反論。流石にこれではSクラスの印象が悪くなってしまうのではと思ったのだが。
「1、2年生は、3年生に譲ってやれ」
アキラの一声で、その場の全員が静まり返る。生徒会長までSクラスの味方をするのかと、各クラスを代表してきた委員長の視線が、悲しみへ染まっていく。
「ど。どうしてですか会長……」
「? 今の3年が、今まで文句も言わずに我慢してきたから」
しかし、あっさりとした理由に、悲しみに染まりかけた瞳は申し訳なさへとすぐに変わった。
「3年生に花は持たせてあげたいからな」
「いや公平はどこへ……?」
「今までのことも考慮しないといけないのが生徒会です」
「そ、そうですかい」
なんだかんだでフリープログラムも無事決定? したけれど……。
「本当に、これでよかったのかな。結局Sクラスの意見だけで決定した感じが否めないんだけど」
「あっちゃんの気持ちはわからないでもないけど、それでもちゃんと納得したんだからいいんじゃない?」
「わたし的には、学校全体がするのも面白いと思うけどね。フォークダンス」
「流石にごった返すわよ」
「あっちゃん、ドロケイの時の3倍だよ……」
「変態はバカだったか」
「なにおうコスプレ星人!」
「お前の計画だろ?!」
「コスプレせーじん」
「コスプレせーじ~ん」
「やめろっ!」
案の定チカゼは、ヒナタとキサにいじられた。



