すべてはあの花のために②


 ふと気づくと、先程までの争い声は聞こえなくなっていた。耳を澄ませてみると、1、2年のSクラスがよさこい節やマスゲームがしたいと言い出したのだ。
 もちろんSクラスではない生徒たちはもう反論。流石にこれではSクラスの印象が悪くなってしまうのではと思ったのだが。


「1、2年生は、3年生に譲ってやれ」


 アキラの一声で、その場の全員が静まり返る。生徒会長までSクラスの味方をするのかと、各クラスを代表してきた委員長の視線が、悲しみへ染まっていく。


「ど。どうしてですか会長……」

「? 今の3年が、今まで文句も言わずに我慢してきたから」


 しかし、あっさりとした理由に、悲しみに染まりかけた瞳は申し訳なさへとすぐに変わった。


「3年生に花は持たせてあげたいからな」

「いや公平はどこへ……?」

「今までのことも考慮しないといけないのが生徒会です」

「そ、そうですかい」


 なんだかんだでフリープログラムも無事決定? したけれど……。


「本当に、これでよかったのかな。結局Sクラスの意見だけで決定した感じが否めないんだけど」

「あっちゃんの気持ちはわからないでもないけど、それでもちゃんと納得したんだからいいんじゃない?」

「わたし的には、学校全体がするのも面白いと思うけどね。フォークダンス」

「流石にごった返すわよ」

「あっちゃん、ドロケイの時の3倍だよ……」

「変態はバカだったか」

「なにおうコスプレ星人!」

「お前の計画だろ?!」

「コスプレせーじん」
「コスプレせーじ~ん」
「やめろっ!」


 案の定チカゼは、ヒナタとキサにいじられた。