「あと少し、か」 誰かの呟きが聞こえる。 「でもそれは、『名前が消えたら』の話でしょう?」 「ああそうだな。……楽しみで仕方ないよ」 「そうね。いつ、消えるかしら」 「加えて、今年で17になりますから」 「ええそうね。“兆候”が出れば、もうすぐだわ。それまでの辛抱よ」 「ああ。……その日を楽しみにしておこうか」 そう言って彼らは何かを燃やす。 そしてあっという間にその『何か』は、燃え尽きて、あっという間にこの世からなくなった。