それから一番心配していた「それで、糖尿病は治りそうか?」と聞くと、「糖尿病は一度罹ったら治らない病気だ」と何故か得意げに言ってくる始末。まだなってはいないとのことだったが、中学でその一歩手前になるとか、頼むからこれ以上兄ちゃんを心配させてくれるなよとぼやいた。
「というか、なんで知ってるんだ」
「ふっ。兄ちゃんを舐めるなよ?」
「……ふむ。ストーカーか」
「(※事実なので何も言えない)」
「どうだろう。やめられるかな……」
「大丈夫だ。お前の場合、明らかな拒否反応だろうからな、それの」
「でも、美味しいと感じてしまうようになってしまったし」
「程々に頼むよ」
「ん。わかった」
ぼうっとするのも、眠くなるのも、そのうち落ち着いてくるだろう。それも、そのイヤーカフのせいだから。
「それで? 今の気分は?」
「最高。頭突き返してやりたいくらいには」
「それだけはやめておいてあげてくれる? 今あの子、お前のために氷買いに行ってるんだから」
「冗談冗談。……本当は、抱き締めたくて仕方がない」
「やったら許さないよ?」
「ちゃんと了承もせず抱き締めた人に言われたくないけど」
完敗を食らったので、これ以上もう下手なことは言うまいと誓った。
「葵だけは、特別なんだ」
「……そっか。お前も、そう思ってくれてよかった」
「シン兄?」
「そういえばお前ら、パトロールしてるんだよな?」
「ああ。西方面のこと?」
「……それ、しないといけない?」
言葉の中に何か違和感を感じたのか、アキは怪訝な顔をしながら「葵が心配か?」と聞いてくる。
「そうだね。心配は心配かな」
「無理はしていない。葵にもそう言われたから」
「そっか。……なら、いっか」



