「さあ! 思い切ってみろっ! 俺の自慢の弟だろうが!」 「――! …………ッ」 シントの声が、アキラの心根まで届いたのだろう。 彼は奥歯を噛み締めながら、その震える手をゆっくり……そして確実に、左耳へと持って行く。 「…………ッはっ」 そして、イヤーカフを自らの手で外した彼の瞳には、強い光が宿っていた。 「…………っ」 「よくできました」 シントは、外したイヤーカフを握り潰しながら俯いているアキラの頭を、しばらくの間撫で続けていた。