「え……。ねえバカなの。それ自滅するじゃん」
「~~っ。……でもわたし、『何も言わない』って言ったから。ッ喋れないなら、こうしたら伝わると思っ……、つぅ~~……」
葵と、葵の頭突きを食らったアキラは只今、二人とも自分の頭を抱えて悶絶中です。
「なるほど。……それでアキ、葵の言いたいことは伝わった?」
「……ッ、は? いや、意味わかんな」
「馬鹿! お前ここでわかったって言っとかないと――」
シントがそう言い切る前に、葵はまたアキラの胸倉を掴み上げて、またまたごっつんと頭突きした。
「ねえアキ。お願いだからわかったって言ってくれる? 大好きな二人がこんなことで死ぬの、俺嫌なんだけど」
「……わ。かっ、た……」
「ッ、だってシント。よかったねっ」
「わけがわからないまま言わせただけだから、取り敢えず代弁しとくよ」
「おう! 頼んだぜい!」
葵は車の中に常備してある救急箱から湿布を取り出し、アキラのおでこにペタッと貼った後、氷を買いにカエデを連れてコンビニまで駆けていった。
「……それで? どうして頭突きされたかわかる?」
「……? 全然……」
「お前はなんでこんな時に限ってバカなんだよ。葵は、『納得してねえだろうが馬鹿野郎!』って言いたかったんだと思うよ」
「……違う。俺は納得したんだ」
「じゃあ、お前はどうして怖いの」
「――なっ」
「俺が知らないとでも思った? ばっかだねえ。……お前だって、嫌われるのが怖いんだろ? 嫌われるわけねえのにさ」
「……け、けど……」
「アキ。大丈夫だから」



