すべてはあの花のために②


「え……。ねえバカなの。それ自滅するじゃん」

「~~っ。……でもわたし、『何も言わない』って言ったから。ッ喋れないなら、こうしたら伝わると思っ……、つぅ~~……」


 葵と、葵の頭突きを食らったアキラは只今、二人とも自分の頭を抱えて悶絶中です。


「なるほど。……それでアキ、葵の言いたいことは伝わった?」

「……ッ、は? いや、意味わかんな」

「馬鹿! お前ここでわかったって言っとかないと――」


 シントがそう言い切る前に、葵はまたアキラの胸倉を掴み上げて、またまたごっつんと頭突きした。


「ねえアキ。お願いだからわかったって言ってくれる? 大好きな二人がこんなことで死ぬの、俺嫌なんだけど」

「……わ。かっ、た……」

「ッ、だってシント。よかったねっ」

「わけがわからないまま言わせただけだから、取り敢えず代弁しとくよ」

「おう! 頼んだぜい!」


 葵は車の中に常備してある救急箱から湿布を取り出し、アキラのおでこにペタッと貼った後、氷を買いにカエデを連れてコンビニまで駆けていった。


「……それで? どうして頭突きされたかわかる?」

「……? 全然……」

「お前はなんでこんな時に限ってバカなんだよ。葵は、『納得してねえだろうが馬鹿野郎!』って言いたかったんだと思うよ」

「……違う。俺は納得したんだ」

「じゃあ、お前はどうして怖いの」

「――なっ」

「俺が知らないとでも思った? ばっかだねえ。……お前だって、嫌われるのが怖いんだろ? 嫌われるわけねえのにさ」

「……け、けど……」

「アキ。大丈夫だから」