すべてはあの花のために②


 そうして、葵を抱き締めながら頭をよしよし撫でようとした、その時。外からものすごい眼力でじっとこちらを凝視している人物たちを発見。どうやら、待ち合わせ相手が来たみたいだ……!


「葵大変だ! 俺の格好いい兄ちゃんのイメージがガラガラと崩れていくっ!」

「え? シントは格好いいよ?」

「ちょっ。……そんなに俺に襲って欲しいわけ? して欲しいなら帰ってからいくらでもしてあげるけど」

「なあ!? 違うから!」

「って、その前に。本当に大変なんだって。ついにボス戦だよ!?」

「え。……シント、大丈夫?」

「何言ってんの! こんな作品の序盤でサブ役だったはずの俺巻き込んで?! しかも結構シビアな、これこそ佳境な話っぽいのぶっ込んできて! 何なのさ本当! 俺まだ正体バラすべきじゃなかったでしょ! 何でこうなってんの! どんだけ作者隠すの下手なのっ?!」
(※すみません_/\○_)

「え? 意味わからないし。ていうか待たせてるから、車の中入れてあげたいんだけど。ほら、シントも早く後ろの席に移動するよ」

「……どうしてこういう時にいつものノリが来ないの。惨めじゃん……」

「じゃあわたしは降りて二人を中に入れてあげるから。心の準備でもしといて」


 そう言って、車からさっさと降りてしまった葵は……。


「え。俺一応あの子に告ったんだよね? なのになんであんな冷たい反応なわけ? 意味がわからないんですけど。……家帰ってから覚えとけよ」


 なんてことを腹黒執事がブツブツ言っていたその時、ものすごい悪寒に襲われていたとかいないとか。