「それじゃあ葵ちゃん。デートしようか」
「で。デート?」
「だって久し振りに会ったし、俺すぐ帰っちゃうし」
「わ、わたしはそれどころでは……」
「俺がいいとこ連れて行ってあげるから。……きっと君にとっても、いい情報をくれると思うよ」
その口振りは、誰かを紹介してくれるようだった。
「まだアポ取ってないけど、きっと会ってくれると思う。……でもその人、ちょっと癖があるから、そんなにすぐは教えてくれないかもしれないんだけど。それでもよかったら俺とデート、してみない?」
「……ふふっ。はい。それなら喜んで」
「やった! ほんとに!」
「そ、そんなに喜ぶことですか?」
「だって葵ちゃん、今までデートしたことないでしょう? その初めてを俺がもら……」
「…………」
「え。あるの?」
「黙秘します」
「ちょ、葵ちゃん!?」
この後いろいろとトーマには問い詰められたが、葵は絶対に口を割らなかったらしい。
そうして、遅くまでしっかりバーベキューを楽しんだ翌日。キクのサプライズバースデーパーティーを実行。朝のうちに取りに行っておいた、大きなヒマワリの花を前にキクは「……オレはこんな綺麗な奴じゃねえってのに」と、少し照れくさそうにしながら受け取っていた。
花を渡したキサはそれを見て喜んでいたが、キクに不意打ちでキスをされていたので、すぐに顔が真っ赤に。そんな状況に、今度こそ葵たちは『見て見ぬ振り』をしたのだった。



