すべてはあの花のために②


 そして試合開始直後。

 チカゼはトーマとヒナタによる悪質な攻撃により、精神的ダメージを食らってしまい戦闘不能▼
 アキラは『ねむる』を使って体力を回復しているのか、完全に寝てしまい戦線離脱▼

 結果、開始直後にして【天使チーム】には、もはや本当の天使であるオウリと葵しか残されていなかった。

 しかし、向こうは強敵。本物の魔王と悪魔とその兄、そして人質に葵の癒やしがいるのだ。


「くそう。戦力が欠けてしまってる分、負担は多いけど……やれるかい! オウリくん!」

「(こくこく!)」


 葵の気持ちがわかっているのか、彼の目も本気だ。

 そして、この人数の中、再び勝負が始まる。勝負の結果は――――。



「やったよオウリくん! わたしたち二人で勝ったよー!」

「♪~♪」


 ハイタッチをしながら大喜している葵たち。対して悪魔チームはというと。


「え。……何で負けたの。意味わかんないんだけど」

「葵ちゃんの時間が……」

「何よあれ。強過ぎじゃない!」

「あ、あおいチャンの顔、……こわかった」


 まるでサ○ヤ人が如く、髪を逆立てた二人のやる気と、素晴らしい防御力、そして凄まじい攻撃力によって、勝敗はあっという間についた。きっと今の二人なら、難関ダンジョンに行っても、ボス戦に行ってさっさと帰って来ていただろう。相性抜群。何より、強すぎた。


「(くっそ。俺の葵ちゃんタイムが……)それで? 得点王の葵ちゃんは誰の時間が欲しいの?」

「あ、はい。それは――――」