「しんとサン。今おれらが聞いたことは、みんなに話さない方がいいですか?」
「いいよと言ってあげたいところだけど、君たちから言うのはダメ」
「そう、ですか」
「でも、それだったらアタ……俺みたいに、中途半端なまま誰かがあの子に近づこうとしませんか」
「確かに。そういう時はどうすればいい」
シントは一度目を閉じて、ゆっくりと開いた。
……が、その瞳にあるのは、ただの蔑みだった。
「それはそれでいいんじゃない? そんないい加減な奴らなんだと、みんなのことをそんな風に思っているお前らもそれまでだということだから」
空気がビリついてすぐ、シントはクスッと笑う。
「俺はさ、そんな中途半端な状態で勝手なことをする奴なんか、お前らの周りにはいないと思ってるよ。お前らも、みんなのこと信じてやりなよ。少なくとも俺と理事長は、お前らのこと信じてるんだからさ」
「でも……そうだな」とシントは続ける。
「多分みんなは、近づこうと思った時、必ずと言っていいほど理事長に話を聞きに行くだろう。そうして、教えてくれないから俺のところにも来ようとする。そうなったら、俺が今話したとこまでをみんなに話すことにしよう」
「きっとみんな、考えることは同じだろうからね」と、そう付け加えて。
「だって、まだ全員が近づこうとしてくれてはいないでしょう? なのにそんな勝手に話すわけにはいかない。俺まで辿り着いたら、後は一人で戦うことだ」
「でも、あおいチャンのことはみんな心配してます」
アカネがそう言うと、シントは緩く首を振る。
「確かにそうだとは思うよ。……本当に、あいつと友達になってくれて俺も嬉しいんだ。でも今、現に『離れてる人』や『近づけない人』がいるのは事実だろう?」
そう言うと、みんなが目を見開く。
「そんな中途半端じゃ、本当にダメなんだよ。……それだと、頭が切れる『彼女』に足下を掬われる」
シントは静かに微笑む。



