「……君なんかに、教えるわけがないだろう」
「どういう、ことですか」
シントの言葉に、ツバサに苛立ちがこもる。
「今自分がどんな恰好をしているのか、ちゃんとわかってんの」
「――!」
「そんな偽った恰好のまま本気で近づけると、そう思ってるのかって聞いてんだけど」
「……っ。そ、れは……」
値踏みをするようにツバサを見つめ、シントは呆れたように息を吐く。
「今のままでいる気なら、本気で君には一生無理。アキは……まあ、お前の場合はもう吹っ切れたか。茜くん、君にもまだ無理だね」
「え。な、なんで、ですか?」
「君の心にまだ【許されないこと】が残っているから」
「――!」
「俺でも気づいてるんだ。あいつもきっと、それに気づいてる。言わなかったかもしれないけどね」
誰かを恨みたくなる気持ちは、嫌というほどわかる。
「でも君なら大丈夫だ。すぐにでも囲える。だって、今までつらかっただろうに、誰にも言わないでくれたんだから」
アカネは、ギュッと手を握る。ツバサは、もう半ば諦めているような表情だった。
「翼くん」
シントの言葉に、ツバサの意識が返ってくる。
「キツいことを言ってごめん。でも、君たちが必要なんだ。俺はそう思ってる。だからできれば……そんな表情はして欲しくないな」
「……っ、俺には。まだ……」
「大丈夫だ、わかっているよ。君がそういうことをしてるのに、ちゃんと理由があるんだってことも」
「えっ?」
ツバサは、悲しげな顔でシントを見上げる。
「だって、初めましての時はそんな恰好じゃなかったもんね」
「……信人さん……」
「大丈夫だ。君にもいつか、その時が訪れるよ。……そう。遠くない未来に」
「……そう、だと。嬉しいですね」
シントの言葉に、ツバサは苦笑いを浮かべるだけ。
「(でも大丈夫だ。君のそれも【願い】だから)」
彼女がきっと君を――――救ってくれる。



