すべてはあの花のために②


「……君なんかに、教えるわけがないだろう」

「どういう、ことですか」


 シントの言葉に、ツバサに苛立ちがこもる。


「今自分がどんな恰好をしているのか、ちゃんとわかってんの」

「――!」

「そんな偽った恰好のまま本気で近づけると、そう思ってるのかって聞いてんだけど」

「……っ。そ、れは……」


 値踏みをするようにツバサを見つめ、シントは呆れたように息を吐く。


「今のままでいる気なら、本気で君には一生無理。アキは……まあ、お前の場合はもう吹っ切れたか。茜くん、君にもまだ無理だね」

「え。な、なんで、ですか?」

「君の心にまだ【許されないこと】が残っているから」

「――!」

「俺でも気づいてるんだ。あいつもきっと、それに気づいてる。言わなかったかもしれないけどね」


 誰かを恨みたくなる気持ちは、嫌というほどわかる。


「でも君なら大丈夫だ。すぐにでも囲える(、、、)。だって、今までつらかっただろうに、誰にも言わないでくれたんだから」


 アカネは、ギュッと手を握る。ツバサは、もう半ば諦めているような表情だった。


「翼くん」


 シントの言葉に、ツバサの意識が返ってくる。


「キツいことを言ってごめん。でも、君たちが必要なんだ。俺はそう思ってる。だからできれば……そんな表情はして欲しくないな」

「……っ、俺には。まだ……」

「大丈夫だ、わかっているよ。君がそういうことをしてるのに、ちゃんと理由があるんだってことも」

「えっ?」


 ツバサは、悲しげな顔でシントを見上げる。


「だって、初めましての時はそんな恰好じゃなかったもんね」

「……信人さん……」

「大丈夫だ。君にもいつか、その時が訪れるよ。……そう。遠くない未来に」

「……そう、だと。嬉しいですね」


 シントの言葉に、ツバサは苦笑いを浮かべるだけ。


「(でも大丈夫だ。君のそれも【願い】だから)」


 彼女がきっと君を――――救ってくれる。