すべてはあの花のために②


 ――……君が踏み込もうとしているものは、君よりも残酷な運命だ。それでも君は、知りたいと思うか。

 もし、知りたいと思うならば……彼女に踏み込む覚悟があるのならば、君自身が彼女に近づいて知りなさい。たった独りで。

 その、残酷な運命を――――。



「どういうことよ。それ……」

「そのままの意味だ。少なくともアキは、彼女(、、)に踏み込むことを覚悟したから、俺に知ってることを聞こうとしたんだろう?」


 アキラはこくりと頷くだけ。言葉を発せられないからだ。
 あまりにも、シントの纏う空気が……――鋭く痛い。


「まあ理事長はやさしく言ってくれたみたいだけど。遠回しに、全部知っているような人に聞くようじゃ、彼女には踏み込むことさえできないって言ってるんだよ、あの人は」


 三人は、息をすることさえつらかった。それだけこの場の雰囲気が、彼の態度が、威圧的だったのだ。


「それで? アキはどうして俺に近づいた? その時点で踏み込むことを恐れているじゃないか。彼女が教えてくれないから? じゃあ全て知ってる人に教えてもらおうって? ……そんな甘い考えじゃあ残念だけど」


 ――一生かかったって、あいつの残酷な運命は変えられないよ。



「それから茜くん。恐らく君にしか知らないこともあるだろう」


 アカネがビクリと震える。


「それも決して言ってはいけないよ。言っていい情報とそうでない情報がある。そうでない情報は、自分があの子に近づいて得なさい」


 シントがそう言うと、アキラとアカネは俯いてしまう。「でも!」と、ツバサはシントに必死に声を出して聞き出そうとした。


「あの子が言ってくれるわけないじゃないですか! 教えてくれるわけがない! だからアタシたちは――」

「それはそうだろう」


 ツバサの言葉に耐えきれず、容赦なくシントが口を出す。