すべてはあの花のために②


「葵の仕事とは恐らく、願いだ」

「「願い?」」

「俺も詳しくは知らない」

「俺もこれ以上は教えられない」

「ということは、信人さんは全てご存じなんですね」

「そうだね」

「じゃあ、『あおいチャン自身のことを知ってる人』は、誰がいますか」


 確実に言葉を選んだアカネに思わず感心しながら、シントも言葉を選び返す。


「理事長、俺、道明寺。そして……葵自身。大方(、、)君らが知ってる『全て』を知る人物は、ね?」

「じゃあ、少しでも葵の情報を知ってる人は誰」

「それは葵を知っている人全員じゃない?」


 シントの答えに、みんなは首を傾げた。


「『少しでも』と言っただろう? お前の聞き方が悪いよ」


 アキラは少しだけ口を尖らせていた。


「……あおいチャンが、一度倒れたことがあります。それは本当に一度ですか? どうして倒れたんでしょうか」


 やはり確実に言葉を選んでくるアカネに、シントは頷いて答えた。


「一度ではないよ。理由なら……恐らくアキが少し知っているだろうね」


 答えると、アキラはすごく悔しそうな顔をした。


「え? アキ、アンタまだ知ってるの」

「あきクン……?」

「……俺は、できるならそうであって欲しくないと、思っていたんだが……」

「はーいストーップ。残念だけど、これ以上の情報共有は不可。自分たちで掴みなさい」

「っ、どうしてですか!」


 ツバサがシントに食ってかかる。けれどシントは、鋭くツバサを見つめ返すだけ。


「アキ。お前は、あの人(、、、)に何て言われた。それも教えてやりなさい」


 刃のような言葉に、三人は身を震わせる。
 それからゆっくりと深呼吸した後、「……あの人が。言ってたのは……」とアキラは答えた。