「葵の仕事とは恐らく、願いだ」
「「願い?」」
「俺も詳しくは知らない」
「俺もこれ以上は教えられない」
「ということは、信人さんは全てご存じなんですね」
「そうだね」
「じゃあ、『あおいチャン自身のことを知ってる人』は、誰がいますか」
確実に言葉を選んだアカネに思わず感心しながら、シントも言葉を選び返す。
「理事長、俺、道明寺。そして……葵自身。大方君らが知ってる『全て』を知る人物は、ね?」
「じゃあ、少しでも葵の情報を知ってる人は誰」
「それは葵を知っている人全員じゃない?」
シントの答えに、みんなは首を傾げた。
「『少しでも』と言っただろう? お前の聞き方が悪いよ」
アキラは少しだけ口を尖らせていた。
「……あおいチャンが、一度倒れたことがあります。それは本当に一度ですか? どうして倒れたんでしょうか」
やはり確実に言葉を選んでくるアカネに、シントは頷いて答えた。
「一度ではないよ。理由なら……恐らくアキが少し知っているだろうね」
答えると、アキラはすごく悔しそうな顔をした。
「え? アキ、アンタまだ知ってるの」
「あきクン……?」
「……俺は、できるならそうであって欲しくないと、思っていたんだが……」
「はーいストーップ。残念だけど、これ以上の情報共有は不可。自分たちで掴みなさい」
「っ、どうしてですか!」
ツバサがシントに食ってかかる。けれどシントは、鋭くツバサを見つめ返すだけ。
「アキ。お前は、あの人に何て言われた。それも教えてやりなさい」
刃のような言葉に、三人は身を震わせる。
それからゆっくりと深呼吸した後、「……あの人が。言ってたのは……」とアキラは答えた。



