すべてはあの花のために②


「シント、もう遅いから彼らを送ってあげて?」

「え? 葵、何言っ」

「いやーわたしとしたことが! みんなに家まで送ってもらってるのに何のお礼もしていなかったよ! ということで、シントは無事彼らの家に送り届けてくれ! それじゃあみなさん、さようならららら~」


 そう言って葵は、さっさと屋敷の中へと入っていった。

 いきなり意見を変えられた三人は、お互いに顔を見合わせている。


「……では、ご自宅までお送り致します」


 そう言ってシントは車が止めてある方へ案内する。そうしていいものなのか、三人は顔を見合わせたまま動こうとしない。


「……早くしなさい。葵のやさしさを無下にはしないでくれ」


 そう言われてようやく葵の意図に気づき、三人は慌ててシントの後へとついていった。



 そうして全員、車に乗り込んだのを確認したシントは、ゆっくりと車を走らせた。走り始めてすぐ、アキラから声がかかる。


「……シン兄、聞きたいことが」

「ちょっとアキ! 事故らせたいの?! 話しながら運転なんて危ないことできないんだからちょっと待って!」


 しゅんと落ち込んだアキラを宥めているうちに、車は人目のつかない路地に停められた。


「……まあ、ここなら大丈夫か」

「もう、大丈夫?」

「ああいいよ。……どうしたんだーアキ! そんなに俺に会いたかったのかあー!」


 運転席から後部座席へと移ったシントは、アキラの髪を混ぜ繰り返す。


「感動の再会再びの邪魔をして申し訳ないのですが、あなたの方には時間がそんなにないと思いますので、手短に話をさせてください」


 ツバサの声に、シントはピタリと動きを止めて向き直る。


「……いいよ。俺が答えられる範囲までなら教えよう」


 さて。この三人は何の情報を持ってここまで来たのか。
 シントは期待を抱かないまま、三人と向き合った。