すべてはあの花のために②


 その文化祭についていろいろ話をしているうちに、あっという間に葵の家に着いた。


「お帰り葵」

「ただいまシント」


 みんなに「じゃあね!」と言おうとしたら、「ごめん葵。少しだけシン兄を借りられないか」と頼まれ、シントと葵は思わず目が点に。みんなは最初からそうするつもりだったのか、真剣な目で訴えてくる。


「アキ、それはちょっと……」

「お願いだシン兄」

「信人さん。アタシからもお願いします」

「おれも! お願いします!」


 必死に頼み込んでくるみんなに、シントはどうしようかと迷っていた。


「……ッ本当に申し訳ありません。私は『道明寺』に雇われている身ですので、勝手な行動はできないんです」

「それじゃあ葵に言う。葵、ほんの少しでいいからシン兄を貸してくれ」


 葵は隠すこともせず顔を顰めた。


「アキラくん。それはできない」

「何でだ」

「じゃあ逆に、わたしがいちゃいけない理由を教えてくれ」

「それは……」

「何をしようとしているのかは想像できる。でもこれは無駄なことだ」

「……わかった」


 断定する葵に、アキラは身を引くことを決めた。


「わかった。それじゃあまたな、葵」


 みんなもアキラに合わせて帰ろうとした時、葵がパンッと手を鳴らした。