「じゃあアキ連れてくるわ」と、ツバサとアカネは退出していった。
「アオイちゃん」
カナデは自分が座った隣を叩く。
「何ですか? カナデくん」
「ごめんね。後からついていくことも、多分できない」
「そうなのか」
「でも、アオイちゃんと帰ることが嫌なわけじゃない」
「え?」
「一緒に帰りたいけど帰れない。……アオイちゃんの近くにはいられないんだ」
「……近くには?」
「そう。だから、どうか今はわかって。俺がどうしてこうしているのかも」
「? 大丈夫。ちゃんとわかってるよ?」
「え?」
「カナデくんが、したくないのにわたしから離れてるのはちゃんと知ってるし、みんながわたしを表で守って、カナデくんが裏から守ってくれてることもちゃんと知ってる」
「アオイちゃん……」
「でもさ、学校では一緒にいられるんじゃない? だからこうして、今は話してくれてるんでしょう?」
「それは……」
「だから、生徒会室には来て欲しかったりするんだけど、ダメですかね?」
「……だめです」
おっと。これは予想外。
誰からも見られてない学校なら大丈夫だと思ったんだけど……。
そう言うと、カナデはさっきまで抱き締めてたクッションをまた抱き締める。
「俺が、……できなくなるから、だめなんです」
「え? 聞こえないよ?」
大事なとこだけ、クッションに埋もれているせいで聞こえない。
「……、できないんです」
「だから聞こえないって」
そう言うと、ガバッと顔を上げて――――。
「っ、我慢が! できないんですっ!」
顔を真っ赤にして……可愛いじゃないかい。



