すべてはあの花のために②


「じゃあアキ連れてくるわ」と、ツバサとアカネは退出していった。


「アオイちゃん」


 カナデは自分が座った隣を叩く。


「何ですか? カナデくん」

「ごめんね。後からついていくことも、多分できない」

「そうなのか」

「でも、アオイちゃんと帰ることが嫌なわけじゃない」

「え?」

「一緒に帰りたいけど帰れない。……アオイちゃんの近くにはいられないんだ」

「……近くには?」

「そう。だから、どうか今はわかって。俺がどうしてこうしているのかも」

「? 大丈夫。ちゃんとわかってるよ?」

「え?」

「カナデくんが、したくないのにわたしから離れてるのはちゃんと知ってるし、みんながわたしを表で守って、カナデくんが裏から守ってくれてることもちゃんと知ってる」

「アオイちゃん……」

「でもさ、学校では一緒にいられるんじゃない? だからこうして、今は話してくれてるんでしょう?」

「それは……」

「だから、生徒会室には来て欲しかったりするんだけど、ダメですかね?」

「……だめです」


 おっと。これは予想外。
 誰からも見られてない学校なら大丈夫だと思ったんだけど……。

 そう言うと、カナデはさっきまで抱き締めてたクッションをまた抱き締める。


「俺が、……できなくなるから、だめなんです」

「え? 聞こえないよ?」


 大事なとこだけ、クッションに埋もれているせいで聞こえない。


「……、できないんです」

「だから聞こえないって」


 そう言うと、ガバッと顔を上げて――――。


「っ、我慢が! できないんですっ!」


 顔を真っ赤にして……可愛いじゃないかい。