すべてはあの花のために②


「……嫌われたくない」

「知ってるよお」

「でも、俺はもう、あの子を傷つけちゃったから」

「かなチャンじゃないじゃん」

「俺のようなもんだよ。今は離れてるから、何もないでしょう?」

「後つけて帰るぐらいなら、一緒に帰ればいいのにとは思うけどお」

「何言ってんのアカネ。俺は別にオウリがアオイちゃんのことをいつの間にか『あーちゃん』って呼んでることとか、『キスする仲』だとかぜんっぜん知らないから」

「いや、それおれも知らないんだけど。どこ情報?」

「え? この間1年生組とアオイちゃんが一緒に帰っ……あ」

「かなチャンそれ、ストーカーじゃん……」


 がくっと項垂れると、アカネはクスッと笑った。


「……何さ」

「だって、こんなかなチャン久し振りだと思って」

「ま、そうだろうねー」

「おれは、あおいチャンのこと本気だよ」

「……だから?」

「かなチャンは?」

「なりたくてもなれないよ」

「そんなこと言ってたら、かなチャンずっと独り身だよ?」

「そうなったら一か八か、人妻にでも手出すよ」

「かなチャン……」


 今度はアカネが、がくっと項垂れた。


「……本気には、一生なれないよ」

「でも好きなんでしょう?」

「……だからって」

「おれはね、あおいチャンのこと本気で好きだし、誰にも渡したくないよ。もう眼鏡を取って、髪の毛だって切っても、全然平気だと思う」

「アカネ……」

「そうしておれの夢を叶えてくれて、現実を見せてくれたのは彼女だけだ。誰にも譲れないけど、ライバルが減ってくれるのは嬉しい……はずなのにね。何でだろう。かなチャンが心配で心配で、今はもうそんなの関係ないんだ、おれの中では」

「……俺、心配かけてばっかだなあ」

「かなチャンがね、そうなっててもあおいチャンがそのうち来るよ? かなチャンに近づいてくるよ?」

「ははっ。……うん。多分そうだろうね」