「はあ。はあ。はあ。……やってしまった」
「喋っちゃったもんねー?」
「~♪(こくこく)」
「それで? なんで無言でトランプしてんの。動き怪しかったんだけど」
「喋ったら罰ゲームにして、みんなでダウトしてたの!」
「そうなんだ~。結構楽しかったね?」
「(こくこく!)」
「(それ絶対オウリ勝つじゃん……)」
「あ! 次はヒナタくんだねー」
「じゃあねあっちゃん! また落ち着いたら一緒に帰ろうねー!」
「(手を振る~)~♪」
「うん! じゃあね~」
キサとオウリは生徒会室を出て行った。
「(ああ~。わたしの癒やしがあああ~……)」
軽くショックを受けていると。
「じゃ。オレのことは気にしないで、好きなことしてていいから」
そう言って彼はソファーに座ってスマホをいじり出す。
「ええ?! なんかして遊ぼうよ! ……そうだ! 一緒にマ○カ――」
「理事長に捕まったからしばらくしたくない」
「そ、それは。大変だったね……?」
「うん、つらかった」
「あ! じゃあさ、スマ○ラは?」
「しない。したかったら一人でどうぞ」
「一人でCPと戦うほど虚しいものはないよう」
「じゃあ違うことするんだね」
そう言って彼は、本格的にスマホを触りだしてしまった。
「……ヒナタくんは何してるの?」
「何でもよくない?」
「えー気になる!」
「なんで」
「え? ……なんでだろ?」
「じゃあ気のせいだね」
「そっか気のせい――はっ!」
ヒナタに上手く誘導されてしまう葵である。
仕方ないから、さっきのトランプを使ってピラミッドを作ることにした。
「(実は、これでも手先は器用だったりするんですー)」
葵はどんどん積み上げていった。そしてとうとう――――。
「! 出来た! 見て見てヒナタく――」
すべてのトランプを使い切り、大きなピラミッドを完成させた、それは直後のこと。
「ふーっ」
「あああああああ‼︎」
ヒナタに吹き飛ばされてしまった。
「何すんだあー!」
「人が一生懸命作ったもの壊すのって楽しいよね」
「せっかく作ったのにい……ぐすん」
「得意なの?」
「ん? うんっ。結構上手に出来てたでしょー」
「うん。そうだね」
「(あれ。普通に褒められた)」
「それで? 他に得意なことは?」
「え? 他?」
「うん」
「柔道とか合気道とか……?」
「うん」
「空手とかプロレスとか?」
「そっち系以外ないの」
「え? うーん、そうだなあ。基本は何でもできるよ?」
「じゃあ何するのが一番好き?」
「なんだろう……最近は、みんなの小さい頃の写真集めるのが好きかな?」
「え。そんなことしてんの」
「うん実はねー? みんな可愛いんだもんっ」
「オレのも持ってるわけじゃないよね」
「もちろん!」
「(ほっ)」
「大事にとってあるよ!」
「今すぐ捨てろ」
「いっ、嫌だよ! わたしの宝物なんだ!」
「意味わかんないから」
「これだけは絶対に譲れないね!」
「……はあ。じゃあ持っててもいいよ」
「(あれ? 意外にあっさり……?)」
そう思っていたら。
「その代わり、オレにもあんたの小さい頃の写真頂戴」
「……え。ヒナタくん、ロリコン――」
「違う」
なんだ、違うのか。それもそれで面白いんだけどな~。
「じゃあいい」
「あれ? いいの?」
「その代わり、あんたの話して」
「話?」
「小さい頃の話とか、ここに来る前どこにいたかとか。どうして迎えにきてもらえないのかとか」
「それは……」
「オレ、あんたのこと知らないから」
「それはお互い様」
「オレはいいの」
「なんで⁉︎」
「写真持ってないから」
「え……」
「話せないなら写真返せ」
「(……くっ。なんて卑怯な……)」
「ねえ、なんで話せないの。あんたのこと、何もわからないんだけど」
「(……そんなこと、言われたって……)」
「じゃあここで【悪戯する権利】を使う」
「ええっ⁉︎ ちょっ!」
そう言ってヒナタは葵のスカートの中に手を入れ、そっと脚を撫でてくる。
「ねえ。教えて?」
「だ、だめっ……!」
葵は必死で押し返そうとするが、如何せんこういうことになると上手く力が入らない。
そうこうしているうちに今度は、こてんと葵の胸の上に頭を寄せてくる。
「ねえ、教えてよ」
「だっ。……だめ! ぜったい‼︎」
徐々に中の手が上に上がってくる。
「……っ、ねえ。お願い、だから……」
「え。……ヒナタ、くん……?」
胸に顔を埋められて表情こそ見えないが、切なげな声に、苦しくなる。
「……ヒナタくん、どうし」
「このままやっちゃうのもありだけど」
「‼︎」
いつの間にか、もう一つの手が背中のホックへと進んでいた。
「ひ、ひなたくんっ。ほんと、やめ……っ」
「……こんなになっても、言えないのか」
ハッキリとは聞こえない声で何かを呟きながら、彼はすっと、葵から離れていった。
<監視 その5>
ヒナタの場合
(※尋問されながら襲われる)



