すべてはあの花のために②


「何叫んでたのか知らないけど、喧嘩はよくないぞ!」

「(こくこく)」

「け、喧嘩じゃないよ!」

「そうそう! 今度はキサちゃんとオウリくんなんだね?」

「よろしくー! ほら茜、名残惜しいのはわかるけど、さっさと合作の仕上げしちゃって〜」

「(こくこく!)」

「はあ〜い」

「あ! アカネくん。……よろしく、お願いね?」

「もちろんっ。またねえあおいチャンっ」


 彼はいつもの調子で出て行った。


「(……ありがとう。アカネくん)」


 葵は目を閉じてアカネに感謝した。


「あっちゃんは今まで何してたのー?」

「えーっと。……プロレスして、糖尿病教室して、お話ししてた!」

「??」

「最後の以外おかしいね?」

「そう? 意外と楽しかったよ?」

〈あーちゃんまだ怪我治ってないのに〉

「あーちゃん⁉︎」

「大丈夫だよ。わざとチカくんは技を掛けられてくれたんだ」

「(両手を合わす)」

「え。あっちゃん、そこには突っ込まないの?」

「うん。前からそう呼んでもらってるよ」

〈ねー♡〉

「いつの間にそんなに仲良く……」

「早く治ったら、もっといろんな技かけられるのになー」

〈あーちゃん早く治してね!〉

「そうそう! あっちゃんには重大な使命が待ってるんだからな!」

「え? なんかあったっけ?」

〈おれと試合するのー♪〉

「やっぱりオウリくん、そのためにわたしを……」

〈いつ治りそう?〉

「理由はさておき、いつ頃になりそうなの?」

「もうすぐかな? まだ青くなって少し腫れてるけど、押さえつけない限り痛くないよ。左腕も動かせるし」

〈すごい治癒力だね〉

「でもよかった。傷も痕にならないんでしょ?」

「うん。シントがしっかり治療してくれたよ」

〈変なことされてない?〉

「そうだよあっちゃん! シントさんに告白されたんでしょう?!」

「え?! 何で知ってんの⁉︎」

〈あっくんが暴露した〉

「いやあモテモテですな?」

「(シントのイメージが、どんどん崩れていくー……)」

〈それはそうと! 何する?〉

「そうだね。どうしようか~」

「じゃあ、オウリくんが打つの大変そうだから、喋らなくていいやつにしない?」

〈大丈夫だよ?〉

「でも、確かにそうよね。……じゃあ、喋ったら罰ゲームになるようなやつにしようよ!」

「例えば??」

〈トランプ?〉

「いいね! 喜べないし、悔しがれない!」

「くっ。それはつらい……」

〈違うのでもいいよ?〉

「ううん! トランプに決定!」

「じゃあ早速しよう!」

〈え? どこから持ってきたの?〉

「あっちゃん、いつの間に……」

「実はこんなこともあろうかと! 遊べる道具は手の届く範囲に置いてあるのだー!」

〈それ、食べ物だったら太っちゃう法則の一つだよ〉

「あっちゃん気をつけてね」

「な、なんで心配されてるんだ⁉︎」

〈罰ゲームは?〉

「「くすぐる!」」

〈絶対負けない!〉

「あー? 桜李くすぐり弱いんだ?」

「それは楽しみだねキサちゃん!」

〈言っておくけど
 おれの無言歴は長いよ?〉


 そうして、三人の間に戦いの火蓋が切られた。


<監視 その4>
 キサ&オウリの場合
(※やけに動きが怪しいトランプ大会開始)