すべてはあの花のために②


 脳内さんとの会話を遮るように、チカゼに呼ばれる。ガーゼや包帯だらけで、見ているだけで痛々しい。


「(君を巻き込んでしまって、本当なんて言ったらいいか……)」


 傷の具合を確かめたかったが、彼の雰囲気がそうはさせてくれなかった。


「オレは昨日あったことを話した。お前が隠してたことも全部だ」

「――――」

「不十分なところがあったからオレらにも言え。わかったな」


 口調は強いが、滲み出るやさしさと心配に、心の底から反省した。
 あの時きちんと話していれば、彼がこんな大怪我を負うことはなかったかもしれないのだ。


「(……すべてを背負うのは、わたしだけで十分)」


 葵はゆっくり閉じていた目を開く。


「わかった。わたしも全部話すよ。何でも聞いてくれ」


 葵の意思は、決して揺らぎはしないのだから。



「ある程度はチカくんが話してくれたんだよね?」

「そうだ」

「……じゃあ、どこが(、、、)不十分だったかな」

「最初からお前が狙いだったと知っていたのか」


 アキラの問いかけに、葵は悪びれる様子なく頷いた。すると、みんなの表情が険しくなる。


「じゃあ、伝言って何?」


 キサの問いかけに、葵はあの時のことを思い出すように目蓋を下ろす。


「体育祭で襲ってきた三人が、あまりにも弱かったから……」

「……弱かったから?」

「その依頼主とやらに、『こんなもの通用するとでも? やるならとことんやりなさい。自分じゃ何もできないヘタレさん』と、そう伝えておいてくださいなって。……ごめん。ちょっと調子乗りました」


 目蓋を上げると、みんな顎を外す勢いで口をあんぐり開けていた。


「ねえ、やっぱりアンタ馬鹿でしょ」

「ええっ!?」


 ツバサにそう言われて、「ずみまぜんっ」と深々謝っておく。