「……それで? どうしてここまでなったの」
シントは葵の部屋で手当てをしながら、ここまでの経緯を教えてもらっていた。
「体育祭の時に絡まれたって言ったでしょう?」
「葵が最後挑発したやつね」
「その挑発通り、今度は手加減無しで来られた」
「それで、無理しすぎたわけ?」
「うんそうだね。流石に今日は……無理したかも」
「はあ。どうしてこうも無茶するの」
「それは……願いだから。だからわたしは無理するよ。シントには申し訳ないけど」
葵はシントの目をしっかり見つめ返す。
「どう言っても無理なんだろうけど。でもなるべくは気をつけて。いい?」
「ん。努力する」
シントは大きなため息をついて頬と左肩に湿布を貼る。
「骨まではいってないね。でも左腕は吊っておいた方がいいかも」
「うん。そうしとく」
「……髪、短くなっちゃったね」
シントは、葵のぼさぼさになった毛先に触れる。
「へへ。やってしまったよ」
「はあ。本当、一気に短くなるんじゃない?」
「そうだね。きっと、そうなってしまうと思う」
それでも――……と、言外に含んだ葵の気持ちを、シントはすべて受け止めることにした。
「取り敢えず整えよう」
「うんっ。可愛くしてね?」
「十分可愛いから。これ以上は無理」
「ええっ?!」
「すぐ赤くなんないでよ。夜ベッドの中で襲いたくなるんだけど」
「解雇します」
「やめておきます」
その後、葵の胸元まであった髪は、肩上ふんわりボブに早変わりしたのだった。



