お互いの気持ちが落ち着いた頃、気絶しているキサの元へ行こうとした時だった。
「――葵?」
「何、これ……」
「一体、何があったのよ」
同じく見回りをしていたアキラと九条兄弟が、この惨状に目を見開いて固まっていた。
それも束の間、ツバサが慌ててこちらへと駆け寄ってくる。
「どうしたの!」
「――! ……~~っ」
肩を揺さぶられ、葵は痛む声すら出せないまま蹲る。
「――! アンタ怪我して……」
「取り敢えず警察呼べ! それから近くの病院連れて行く!」
チカゼは蹲る葵の体を支え、三人に叫んだ。
「日向」
「もうやってる。警察の方……あ、もしもし――」
「あ、アタシは救急車を」
「その必要はありません」
慌てたツバサの言葉を遮るように通った誰かの声で、その場に一瞬静寂が走る。
発信源は、街灯の陰。そこからすっと、黒い人影が現れた。
「お嬢様、立てますか」
「……っ、し。んと……?」
そして気付いたときには、そう言って葵の前にしゃがみ込んでいた。
アキラはというと、まさかここでまた会うとは思っていなかったので驚きを隠せない。どこかで聞いたことがあるような名前に、ツバサが首を傾げている。
ちょうどその時キサが目を覚まし、体を支えていたヒナタは、彼女の体をそっと起こしていた。
「キサ。大丈夫?」
「日向? ……――! あいつらは!?」
キサは慌てて辺りを見渡す。
その声に全員が振り返る。何故なら先程の惨劇が嘘のように、そこはもぬけの殻になっていたのだ。



