「命は大切にせなあかんで。正義感強いんはええことやけどな」
男の指示で、チカゼに攻撃を仕掛けに行く大の男たち。
チカゼは向かってきた男たちに、見境無しに殴りかかっていく。向こうの方が人数も多ければ、何枚も上手だ。チカゼはただ、一方的に殴られていく。
それでも何度も立ち上がり、チカゼはまた殴りかかりに行く。ボコボコにされながらも、はははと笑いながら。
「なんなんやチビ助。狂っとるやんけ」
立ち上がり、また向かっていく。
「ち、ちか、くん!」
止めなければ。このままだと彼の命が危うい。
「無駄や。完全にイっとる」
……諦めるもんか。
「チカくん……ッ!」
痛みを堪えながら、倒れては向かっていく彼に何度も声を掛ける。
「放っとき。殺しはせんさかい。ほなお嬢ちゃん、さっさと起きて行くで」
髪の毛を掴み上げられ、ぶちぶちと抜けていく感覚がする。
「ちかあああッ!!」
それでも葵は叫ぶ。
彼の瞳が、悲しさや寂しさへと染まっているのが見えたから。
「(おねがい。とどいてっ。……ッ!)」
腹の底から、彼の意識に声を届ける。
「ちかぜえーッッ!!」
「――……っ!」
有りっ丈の声で叫ぶ。すると、やっと彼の意識が、こちらへと向いた。
「……。あ。おい……?」
彼の目から――涙が落ちた。
「チカ待ってろ。今助ける」
「は? お嬢ちゃん、何言っ――」



