すべてはあの花のために②


「命は大切にせなあかんで。正義感強いんはええことやけどな」


 男の指示で、チカゼに攻撃を仕掛けに行く大の男たち。
 チカゼは向かってきた男たちに、見境無しに殴りかかっていく。向こうの方が人数も多ければ、何枚も上手だ。チカゼはただ、一方的に殴られていく。

 それでも何度も立ち上がり、チカゼはまた殴りかかりに行く。ボコボコにされながらも、はははと笑いながら。


「なんなんやチビ助。狂っとるやんけ」


 立ち上がり、また向かっていく。


「ち、ちか、くん!」


 止めなければ。このままだと彼の命が危うい。


「無駄や。完全にイっとる」


 ……諦めるもんか。


「チカくん……ッ!」


 痛みを堪えながら、倒れては向かっていく彼に何度も声を掛ける。


「放っとき。殺しはせんさかい。ほなお嬢ちゃん、さっさと起きて行くで」


 髪の毛を掴み上げられ、ぶちぶちと抜けていく感覚がする。


「ちかあああッ!!」


 それでも葵は叫ぶ。
 彼の瞳が、悲しさや寂しさへと染まっているのが見えたから。


「(おねがい。とどいてっ。……ッ!)」


 腹の底から、彼の意識に声を届ける。


「ちかぜえーッッ!!」

「――……っ!」


 有りっ丈の声で叫ぶ。すると、やっと彼の意識が、こちらへと向いた。


「……。あ。おい……?」


 彼の目から――涙が落ちた。



「チカ待ってろ。今助ける」

「は? お嬢ちゃん、何言っ――」