そう思った時だった。先程ぶっ飛ばしたはずの男が、いつの間にか葵の背後から容赦なく、その棒を振り下ろしたのだ。
「――! ……いっ、つう~……」
完全に避けきれず、左肩に打撃を食らう。
痛む肩を押さえたまま、その男から飛び退いて距離を取ったのだが。
「チェックメイトや、お嬢ちゃん」
「しまっ――――」
その先にいた、自分を依頼主だと名乗る男の回し蹴りが、顔の左側を直撃。葵の体は、かなり離れたところまで飛ばされた。
「(……はあ。いったーい……)」
そんなことは初めてだった。
自分の体が、まるで自分のものではないような気怠さ。……まさか、無理が祟って進行が早まったりでもしたのだろうか。
「(いずれそうなるとしても、せめてもう少しくらいは、我慢しといて欲しいとこだけど……)」
痛みのせいか、それともすでに顔が腫れているのか。視界はぼやけていてよく見えない。
「お前ら、もうええで」
その合図で、チカゼに群がっていた男たちもこちら側にやってくる。
「そこのお嬢ちゃん返したってええよ」
「いいんスか」
「目的はこっちの子だけやし」



