すべてはあの花のために②


 そう思った時だった。先程ぶっ飛ばしたはずの男が、いつの間にか葵の背後から容赦なく、その棒を振り下ろしたのだ。


「――! ……いっ、つう~……」


 完全に避けきれず、左肩に打撃を食らう。
 痛む肩を押さえたまま、その男から飛び退いて距離を取ったのだが。


「チェックメイトや、お嬢ちゃん」

「しまっ――――」


 その先にいた、自分を依頼主だと名乗る男の回し蹴りが、顔の左側を直撃。葵の体は、かなり離れたところまで飛ばされた。


「(……はあ。いったーい……)」


 そんなことは初めてだった。
 自分の体が、まるで自分のものではないような気怠さ。……まさか、無理が祟って進行(、、)が早まったりでもしたのだろうか。


「(いずれそうなるとしても、せめてもう少しくらいは、我慢しといて欲しいとこだけど……)」


 痛みのせいか、それともすでに顔が腫れているのか。視界はぼやけていてよく見えない。



「お前ら、もうええで」


 その合図で、チカゼに群がっていた男たちもこちら側にやってくる。


「そこのお嬢ちゃん返したってええよ」

「いいんスか」

「目的はこっちの子だけやし」